一刻も早く、日本に戻りたい理由

ー福岡からの退団が発表されたとき、他のクラブから何か反応はありましたか?

セランテス:アビスパとの契約が切れてから、実は他のクラブからもオファーはあったんだ。だけどアビスパで過ごした2年のパフォーマンスを考えると、実際にもらったオファーよりももう少し良いオファーを期待していた。だからそのときは、とても悲しかった。アビスパで良いシーズンを過ごしたし、J1までたどり着いたにもかかわらず、そのあとは何が起きたのか自分でもわからない。アビスパとの契約が満了になってからの2か月間は、自分のキャリアをそこで終わらせようかとさえ思った。でも今は立ち直って、日本で復活できるよう希望を持っている。その希望は持ちつつも、今のクラブでとても幸せだから後悔はないよ。

ー福岡からの退団が発表されたときには、サポーターからたくさんのメッセージが届いたと思います。今でも、彼らの記憶に強く残っています。メッセージはありますか?

セランテス:まずは、ありがとうと伝えたい。アビスパで過ごした期間に、本当に感謝している。お別れを告げたときには、1,000以上ものメッセージをもらった。その気持ちはとても嬉しかったし、彼らの愛を感じたよ。もちろん僕も彼らを愛しているし、とても素晴らしいサポーターだと思っている。彼らのおかげで、自分が特別であること感じられた。スタジアムやイベントで声をかけられたときのことなど、今でも彼らと過ごした期間を思い出せる。だから、みんなにまた会いたいよ。

ー福岡を離れた後も、日本にいたいとコメントしていました。なぜだったのでしょうか。

セランテス:まず、今でも日本でプレーしたいと思っているよ。一刻も早く、日本に戻りたい。なぜかというと、この国がとても素晴らしいから。まず、試合の周りにある雰囲気が良い。ヨーロッパはサポーターがハングリーで、負けていたらすぐに怒る。でも日本は仮に負けていても、サポーターがとてもリスペクトしてくれる。もちろん、選手もサポーターもみんな勝ちたい。でもいくら勝ちたくても負けてしまうこともある、ということを理解してくれることが素晴らしいんだ。チームの状況が難しいときでも、サポーターが側にいてくれるということに感動していた。だからできれば一刻も早く、日本に戻りたいと思っている。今でも日本語を忘れたくなくて、スペインで日本人を見かけたら日本語で『すみません、あなたは日本人ですか』と話しかけたりと準備しているよ。話さないと、どんどん忘れていってしまうからね。

アビスパ福岡のサポーター 写真:Getty Images