GK村上とは家族ぐるみの付き合いも

ーポジションを争い、現在も福岡の守護神である村上昌謙について、エピソードや印象を教えてください。

セランテス:村上はとても良いGKで、とても素晴らしいチームメイトだった。彼は少しヨーロッパのGKに近いんだ。どういうことかというと、間違えることを良い意味で恐れている。際どい場面では無理に繋ぐことを考えないで、第一に安全性を考える。あとは自分のプレーはそこまで目立たなくとも、いつも集中しているんだ。これはGKのなかで重要なスキルの1つだよ。彼や拓己(山ノ井)などと、とても良い時間を過ごすことができた。村上の奥さんと僕の妻はとても仲が良くて、一緒にスタジアムで試合を観るなど、家族ぐるみで仲が良かったんだ。

アビスパ福岡 GK村上昌謙 写真:Getty Images

ー他に、日本人選手とのエピソードはありますか?

セランテス:1番印象的だったのは(2019年に)宮崎でキャンプをやったとき、日本に来て1週間目のことだ。ファビオ・ペッキア(監督)が、1日休みにしてくれた。そのときに田邉(草民)とかリキ(松田力=現愛媛FC)とダイスケ(石津大介=現FC岐阜)がいたから、日本語で『すみません、どこ行きますか?』と聞いてみた。そうしたら田邉はちょっとだけスペイン語を話せたこともあって、一緒に行こうと誘ってくれてね。みんなでディナーに行ったんだけれど、自分はそのとき日本語がなにもわからない状態で、自分の(日本語の)本を見ながら『これはなんですか』とか、日本語でいろんなことを聞いていた。それに対してみんな答えてくれたりとか、笑ってくれたりとか、とても楽しかった。ディナーのあとには、カラオケにも行ったよ。そのときに聞いていたことや覚えたことは全部メモして、覚えようとした。

ー福岡は、2019年は終盤までJ2残留を争い16位。2020年は首位(徳島ヴォルティス)と同勝ち点の2位でJ1昇格を達成。わずか1年で、大きく変貌しました。どういった点が違ったのでしょうか。

セランテス:やっぱり1番の違いは、J2でのプレー経験など経験豊富な選手が加入し、たくさんいたこと。(ドウグラス・)グローリ、フアンマ、カルロス(・グティエレス)とかの外国籍選手もそうだし、日本人選手もとても力強くて印象的だった。とても強いチームだったよ。また前の年とまったく違うサッカースタイルにもなっていたことも大きいし、あととても重要だったのはベスト電器スタジアムでプレーできたこと(2019年は博多の森陸上競技場で9試合を開催)。サポーターが側にいることを感じられて、ちゃんとサポーターの力を感じることができたんだ。

GKセランテス(当時アビスパ福岡)写真:Getty Images