人材発掘の3つのポイント

では、どのようにすれば、人材を見誤ることがなくなるのでしょうか?

しかし、世界的に有名な戦略ファームのマッキンゼーの調査によると、経営層の7割は社内で最も影響力のある人材を見誤っている、とも発表しているほど、実は非常に難しいことです。

今回は、10万人の活躍データ(最優先育成人材発掘・抜擢サービス”KANAME “による回答データ)から要人材として活躍可能性が高い、自律人材を見極める3つのポイントをご紹介します。

①未知の領域にも挑戦しようとしている

自律性の高い人材は、自分が過去体験したことがないことでも果敢に挑戦しようとします。

例えば、上司からハードルの高い業務の依頼がきても進んで挑戦しようとしますし、自分の専門外の知識でも好奇心を持って知ろうとする傾向があります。

②結果だけではなくプロセスも楽しもうとしている

自律性の高い人材は、結果が出るから楽しいのではなく、結果が出る前のプロセスを楽しむ傾向があります。企業はゴーイングコンサーンなので、売上や利益を求めるのが当然ですが、従業員がノルマという結果に押し潰されてしまうことも多々あります。

しかし、自律性の高い人材は、結果を出すまでの試行錯誤の連続を楽しむことが多いです。

③周りを巻き込む楽しさを知っている

自律性の高い人材は自らのマインドに余裕(余白)があるからこそ、周囲にも目を配ることができ、連携・協働する力があります。

ですので、自己完結型の仕事の進め方をするのではなく、周りを巻き込んで大きな仕事をしようとする傾向があります。例えば、チームでの成果を我が事のように喜べたり、意図的に他の部署や他のチームにも関心を寄せます。

今後の企業と個人の在り方

これまで「自律性」をキーワードに、様々な観点から考察してきましたが、今後企業と個人との関係性も当然ながら従来とは変化する必要があります。

これまでは、「雇う側-雇われる側」という主従関係性が当たり前のようにあったと思いますが、この主従関係も今の時代にフィットしたものになるべきだと考えます。

これから求められる組織と社員の関係では、社員は「雇われている」という認知ではなく、社会に価値を創造するためや、キャリアにオーナーシップを持ち、自分が大切にしていることを実現するために、「この組織を活用している」という認知をもてることが大切なのかもしれません。

こうした人と組織の関係や結びつき方の変化を受け、「エンゲージメント」の概念が今あらためて注目されています。

エンゲージメントを醸成する第一歩目は一人ひとりが自律的、主体的な姿勢で組織と関わり合うことです。その過程の中で、個人や組織の変化を皆で生み出していく取り組みです。

こうした取り組みこそが組織の成果を飛躍的、かつ、継続的に向上させます。今後は組織と個人が同じ立場として、新たな働きがいや生きがいを見出し、さらにそれらをお互いに高め合うこともできればより良い社会になると思います。

<著者プロフィール>

黒澤伶
株式会社ITSUDATSU
代表取締役

早稲田大学人間科学部卒。デル株式会社(現:デル・テクノロジーズ株式会社)、株式会社ビズリーチ(現:ビジョナル株式会社)、コーチングファーム取締役を経て、株式会社ITSUDATSUを創業。「ITSUDATSU(非直線的な現象)を再現性の高い世の中にする」という大義の下、要人材を起点とした独自の組織活性方法で累計300以上のプロジェクトを推進。現在、複数社の取締役CHRO(非常勤)を歴任。