フリーアドレス関連アイテムや完全防音個室型ブースが人気
——コロナ禍では、どのようなオフィス家具のニーズが高まったのでしょうか。
髙橋:“リラックスワーク”のようなコンセプトが主流になりつつあるので、ソファーセットなどが人気です。ハイカウンターなど、カフェテーブルを導入する企業も多いです。
また、フリーアドレス導入の相談を受けることが多くなりました。在宅勤務とオフィス勤務のハイブリッド体制をとっている企業でよく見られる傾向です。
自分の業務やTPOに合わせて執務場所を決めるのがフリーアドレスです。オフィス内の回遊を促すために動線をゆったりとったり、コミュニケーションのタッチになるようなスポットを作ったりしたうえで、フリーアドレス用のデスクやチェア、パーソナルロッカーを配置します。
あわせてモバイルバッテリーの導入などもあったりします。オフィスでは電源があるところが限られていることも多いですし、コードだらけの床にするわけにもいきません。モバイルバッテリーがあればフリーアドレスでも電源を探す必要はなく、何より複雑な工事が不要であることがメリットだと考えます。
岩城:フリーアドレスの導入に伴って、フォンブースを導入する企業も増えていますね。例えば今日はカスタマーサポートチームの後ろで営業担当が仕事をしているため、電話している声が気になって仕事ができない…というストレスなどが発生するようになりました。コロナ禍でWebミーティングが増えたことで、顕在化している問題でもあります。
ただ、Webミーティングをする人たちが周りに配慮するために、1人で大会議室を押さえてしまうと、今度は来客対応ができなくなって困ってしまうでしょう。また、会議室は遮音性が担保されているとは言えません。その問題を解決するために大規模な工事をしようとすると、時間や費用が発生してしまいます。
このような課題を解決するものとして、人気が高まっているのがフォンブースです。
——一口にブースと言ってもいろいろありますが、どのようなブースが人気なのでしょう?
岩城:完全防音個室型のフォンブースが人気です。最近は1on1や商談などのコンフィデンシャルな内容が外に漏れてほしくないという需要も増えています。執務スペースの近くや人通りの多いスペースに置く際は、床付きで吸音性の優れた遮音性の高いブースが選ばれます。天井がついているものは自動消火装置など消防法にも対応しています。
また、ハラスメント対策として、ブースに誰が入っているかわかるよう、ドアがガラス面のものの希望が多いです。会話内容がわからなくても、中にいる人の表情を見ればハラスメントの発見につながるとされているためです。
——逆にニーズが減少しているオフィス家具はありますか?
髙橋:書類の電子化が進んだことで、片袖ワゴンのような個人書類保管の収納家具などの需要は大きく減少している体感があります。
——ここまでオフィスにフォーカスして聞いてきましたが、在宅勤務中の社員のところに家具を届けてほしいというニーズもあるのでしょうか?
髙橋:はい、福利厚生として導入している企業も多いので、当社でもサービスとして提供しています。人気アイテムは、圧倒的にオフィスチェアですね。在宅勤務が普及しはじめた頃は、ダイニングチェアなどに座って仕事をしていた人が少なくありませんでした。
しかし、その状態が長期間にわたり続いたことで腰痛等に苦しまれるケースも多くありました。それなら…と自分で購入しようとしても、オフィスチェアは結構高価なものですし、いつ出社体制に戻って使わなくなるかもわからない。そう考えると個人のお金で購入するのはちょっと…となるわけです。
そういったときに「費用のサポートをするから、ちゃんとしたオフィスチェアを使って執務環境を整えてほしい」と考えて導入される企業が多かったです。