市場規模の縮小が進む日本で、小売業が生き残っていくために
——ここまでコロナ禍が小売業界に与えた影響を伺ってきましたが、変化に対応できない企業はこの先どうなっていくと考えますか?
瀬川:高齢化や生産年齢人口の減少が進む日本では、今後も市場規模がどんどん縮小していきます。そのようななか、対前年度の売上を基準にして、在庫の物量で勝負しようとしていると、経営が立ち行かなくなるのではないでしょうか。
たとえコロナ禍がなかったとしても、市場がどんどん小さくなっていくわけですから、「在庫過多とオーバーストア」問題は深刻になっていたでしょう。円安や原材料高騰の影響もあります。
なかには、頭でわかっていても経営スタイルを変えることに抵抗を感じ、他社の動きを横で見ているだけの企業もあるかもしれません。
しかし、そのような企業は、この先どんどん規模が小さくなっていくのではないかと思います。逆に時代の潮目をとらえて、「在庫の効率を上げよう」「売上第一から粗利第一に変革しよう」と経営の変革をしていく企業が生き残っていくでしょう。
<著者プロフィール>
瀬川 直寛
フルカイテン株式会社 代表取締役慶應義塾大学理工学部で天然ガスの熱力学変化に関する予測モデルを研究。ベビー服ECの経営者として、在庫問題が原因で3度の倒産危機に直面。それを乗り越える過程で外的要因や予測不能な変化に強い小売経営モデルを生み出し、『FULL KAITEN』を開発。
2017年11月、FULL KAITENをクラウド事業化し、SaaS型システムとして販売を開始。2018年9月にはEC事業を売却し、FULL KAITENに経営資源を集中している。
小売業の「在庫」を「利益」に変えるクラウドサービスとして評価を確立。現在、全国の大手アパレル企業やスポーツメーカーなどで導入が進んでいる。
当社は2021年7月、ジャフコ グループ株式会社が運用する投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資により、5億円の資金調達を実施。累計調達額は8億円超となり、FULL KAITEN新機能のリリースも控えさらに注目を浴びている。