5.睡眠を十分取ろう

最後は睡眠。昼寝も含めて、睡眠をどれだけ味方につけるかが大切です。睡眠をとることのメリットは、大きく分けて2つあります。ATPをしっかりと作ることと、疲労をとることです。減量は、最後の最後までいくと、我慢比べ的な様相を呈する場合がありますが、そうすると失敗の確率があがっていきます。
減量がうまくいった人に聞くと、最後もつらくなかったと言うものです。あるいは減量がうまくいったときは、思ったよりもつらくなかったという感想を聞きます。これは代謝が高いままで、疲労が溜まりにくく、いい循環になっていることが考えられます。毎日、これからトレーニングするぞというときに、前向きに頑張れて楽しめているのでしょう。
逆に、我慢しなきゃいけないと思うと、自ら疲れる方向にいってしまいます。特に減量のときは気をつけてください。最後の最後で敵になるのは疲労です。睡眠を上手に味方につけると、溜まった疲労がリセットされて、次の日も元気に活動できます。

◆プチアドバイス②
睡眠には脂肪を燃やしてくれるという実に嬉しい効果もあります。
この効果を最大限に発揮するためには空腹という状態で睡眠に入る事です。では何をもって空腹とするのかですが、厳密な意味においての空腹ではありませんがざっと2時間カロリーのあるものを食べなければ空腹に近くなりますので、減量に入った際には睡眠から逆算して2時間(理想は3時間)前になったらカロリーの摂取は控える事です。
カタボリックを抑える目的で就寝前にプロテインを飲む人もいるかと思いますが、残念ながらプロテイン摂取は空腹という条件を破ってしまう事になります。就寝中のカタボリックが心配な場合は、アミノ酸で代替するといいでしょう。就寝前には起床時と同様にグルタミンを飲むといいですし、プロテインの代わりであればEAA(必須アミノ酸)がお勧めです。
空腹で寝るという事も、減量に入った際のルーチンに取り入れるといいでしょう。

サプリメントのススメ

サプリメントは頼るのではなく活用するというのが鉄則ではありますが、やはり減量期のサプリメントは心強い味方になりますし、カードのひとつにもなります。
まずサプリメントでいうと、ファットバーン系を活用するといいと思います。これは、先ほどお話しした小出しの引き出しのひとつとして持っておいてください。その上で、減量期の前半から摂ったほうがいいと思います。大概のファットバーン系の素材や成分は、その効果を測定するときにBMIが高めの人で設定しています。体脂肪率が一桁で、さらにもうひと絞りしたい人が飲んでも、残念ながらそこまで効かないのです。効かせるためには、自分のなかで最もオフに近い状態のときのほうが、効果は高く出ます。つまりファットバーン系のサプリメントは前半型。ただし、複数飲む場合にはここのタイミングで全部飲むのではなく、それ以降まで摂っておきましょう。
では、体脂肪率が一桁になったら何を飲めばいいのかですが、ひとつお勧めなのはエルゴジェニック・エイド的な効果をもつカフェインの類はいいかもしれません。またカフェインと非常に相性のいいHCAは、セットにして中盤~後半にとっておくサプリメントの組み合わせかもしれませんので、頭打ちになったときに摂っておいてもいいでしょう。もうひとつ、ファットバーン系以外のサプリメントも大切です。減量中は、脂肪を落とそう、体重を減らそうとそちらへ意識がいきますが実は非常に疲労が溜まります。摂取カロリーが減り、栄養素のバランスが崩れているにもかかわらず、身体は動かして消費カロリーは上がっているわけです。そうすると、活性酸素も増えてしまってますます効率が悪い。
そこで、これは個人的なアドバイスですが、ヘム鉄と還元型CoQ10をお勧めします。作用機序はまちまちですが、どちらもATPを作りやすくする栄養素なので、減量時のようにエネルギーが足りないときに向いています。これは、減量期間中ずっと摂ってもいいかもしれません。次の引き出しということではなく、減量に入ったら、その疲れが押し寄せる前に準備しておくイメージです。もしよかったら試してみてください。
最後に、減量中でも筋肉への意識を大切にしてください。減量中は、どうしても意識が体重や脂肪を落とすことにいってしまいます。しかし、体内ではアナボリックとカタボリックは常に連動していて、それがうまく回らなくなると、筋肉が犠牲になり、ガリガリな印象に仕上がってしまいます。ですから、減量に入ったときこそ、筋肉の同化(アナボリック)に意識を向けておくこと。脂肪だけに意識が行くか筋肉にも意識が行くかでは、最終的に大きな違いが出てきます。筋肉を維持するために、BCAA、HMBなどを取り入れるのもいいでしょう。HMBはバルクアップよりも減量のときに入れたほうがいいと思うくらいです。

◆プチアドバイス③
今回は減量時の原則というテーマにつきサプリメントの詳細については触れませんでしたが、減量時においては特にトレーニングに絡めてのカロリーも含めた栄養摂取が重要になります。そこへの意識のギアをひとつ上げていってください。またそこではサプリメントが非常に役に立つはずです。
一例をあげれば、トレ前にファットバーン系、EAA、トレ中にCCD+BCAA、トレ後にEAA+エナジージェル(MDなど)+ホエイプロテイン、といった具合です。


くわばら・ひろき
1961年4月6日生まれ。競技やプロ・アマチュアといった垣根を越えるコンディショニング情報の提供を目指し、活動している「桑原塾」を主宰。江崎グリコで、スポーツサプリメントブランド「パワープロダクション」を立ち上げ、これまで世に送り出された、全アイテムの企画・開発に携わる。


飯塚さき
1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーランスの記者として『相撲』(同社)、『大相撲ジャーナル』(報知新聞社)、『IRONMAN』(フィットネススポーツ)、スポーツ庁広報ウェブマガジン『Deportare』などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。

提供元・FITNESS LOVE

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