かつてパタゴニアのウエアやグレゴリーのパック(バッグ)など北米アウトドアブランドの虜だった世代には感涙ものの古着店が「バックストリート」。機能的で丈夫で、独特の色合いも魅力的。当時の夢中を思い起こし、宝の山状態の空間で店主の深い知識に感嘆し、自分にとっての逸品を買う至福を満喫しました。

目次
1990年代、パタゴニアに夢中だった
海の取材で重宝したシャツ

1990年代、パタゴニアに夢中だった

MADE IN USAの逸品ウエア&パックが、個人的に世界一の品揃えと崇敬する町田の古着店「バックストリート」
(画像=『たびこふれ』より引用)

1990年代のパタゴニア製品カタログ。当時の製品を知ることができる貴重な資料で、「バックストリート」はパタゴニアが創業した1970年代のカタログも所持し、世界トップクラスの情報を蓄積している。

私は90年代はじめから2000年にかけて13年間、スキューバダイビングやシーカヤックの専門誌や書籍を制作するため、編集者として地球上の海をあちこち旅していました。過酷な取材行でまとうウエアや道具類を運ぶバッグには高い機能性を求め、おのずと選ぶのはパタゴニア製品ばかりでした。このメーカーの創始者イヴォン・シュイナードさんの「ウエアはファッションではなく、着る道具である」という言葉に心酔し、実際に使いこむほどに製品の高い品質への信頼を増し、美しい写真と含蓄あるメッセージ、ウイットに富んだ製品説明のテキストが載る新製品のカタログが届くやいなや、片っ端からさまざまなウエアやバッグをオーダーしていたのです。

MADE IN USAの逸品ウエア&パックが、個人的に世界一の品揃えと崇敬する町田の古着店「バックストリート」
(画像=『たびこふれ』より引用)

掲載された写真にも目が釘付けになった。よく見るとアンバサダー(商品開発にも携わるスペシャリスト)がパタゴニア製品をまとう。そのさりげなさが最高に格好よかった。

MADE IN USAの逸品ウエア&パックが、個人的に世界一の品揃えと崇敬する町田の古着店「バックストリート」
(画像=『たびこふれ』より引用)

多様な赤や青、紫。深い緑、目が醒めるマンゴー色など独創的な色と大胆な柄。1990年代のパタゴニアの製品はひと目で心をつかまれるインパクトとオリジナリティがあった。左ページの人物はハワイのレジェンド・サーファーにして尊敬を集めたライフガード、故レラ・サン。アンバサダーとして、アロハシャツ『パタロハ』づくりに関わっていた。

MADE IN USAの逸品ウエア&パックが、個人的に世界一の品揃えと崇敬する町田の古着店「バックストリート」
(画像=『たびこふれ』より引用)

大自然に分け入る旅に役立つ機能的で個性豊かなバッグにも魅せられ、いろいろ購入した。強い意思で環境保護を訴えるメッセージをカタログに掲載する体制は今も不変。

海の取材で重宝したシャツ

MADE IN USAの逸品ウエア&パックが、個人的に世界一の品揃えと崇敬する町田の古着店「バックストリート」
(画像=『たびこふれ』より引用)

90年代から愛用している『トロピカル・フィッシングシャツ』

海の遊びをめぐる旅を専門とする編集者時代、私にはとくにお気に入りのシャツがありました。フィッシング用に開発された『トロピカル・フィッシングシャツ(のちにトロピカル・フラッツシャツに改名)』という製品で、とびきり涼しく、速乾性に優れ、「服は道具」という考えを象徴する製品でした。水分を発散する肩と腰の部分のメッシュライナー、空気をとりこむ胸と背中の空気孔(ベンチレーションシステム)、そしてポリエステル65%&オーガニックコットン35%の薄手生地。亜熱帯、熱帯の島々をめぐったとき、旅の道具であるこのシャツが熱中症を防いでくれて、結果としてスムーズな取材を完遂できたのです。

製品ラインナップからこのシャツが消えたあと、高い速乾性と風通しのよさを謳う新製品が登場しては試してきましたが、このシャツにかなう性能の製品はいまだ現れていないと思っています。20数年着続けている『トロピカル・フィシングシャツ』の生地がだいぶ薄くなり、裸でいるより着ていた方が涼しい高性能を新たに手に入れられないかと夢みて、なにげなくウエブを検索したら、デッドストック(未使用品)の『トロピカル・フラッツシャツ』を扱う「バックストリート」を発見! 通販で注文して届いた実物を手にして、自分にとっての最高のシャツに再会できた悦びに浸っているうち、このような逸品を扱う店主に会いたくなりました。メールで想いを綴ると、取材の快諾を得ることができました。

MADE IN USAの逸品ウエア&パックが、個人的に世界一の品揃えと崇敬する町田の古着店「バックストリート」
(画像=『たびこふれ』より引用)

シーカヤッカー内田正洋さんが西表島から東京湾まで漕ぐ外洋航海時に着ていたのが『トロピカル・フィシングシャツ』。『シーカヤッカーズ・ハンドブック』(マリン企画)より

MADE IN USAの逸品ウエア&パックが、個人的に世界一の品揃えと崇敬する町田の古着店「バックストリート」
(画像=『たびこふれ』より引用)

2004年製『トロピカル・フラッツシャツ』デッドストック。奇跡の再会!

MADE IN USAの逸品ウエア&パックが、個人的に世界一の品揃えと崇敬する町田の古着店「バックストリート」
(画像=『たびこふれ』より引用)

汗をかいても、ホテルの洗面台で洗ってもすぐに乾くから旅のウエアとして最適で、長い旅も着替えを持たず、これ一着だけで過ごせる。パスポートや筆記用具、大きなサイズのiPhoneも楽々入る、大きな2つの胸ポケットも取材で重宝する。