目次
死亡保険金・死亡退職金に関する期限
必要に応じて期限内に手続きを

死亡保険金・死亡退職金に関する期限

遺産相続は期限を意識して計画的に。まず行うべきこととは?
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

死亡保険金や死亡退職金の受取人になっている人は、決められた期限内に請求手続きを行いましょう。どちらも相続財産に該当しませんが、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。

死亡保険金の受け取りは3年以内

死亡保障が付帯した生命保険の加入者が亡くなった場合、保険金の受取人に指定されている人は「死亡保険金」を受け取れます。

死亡保険金の請求期限は、支払事由が発生した日の翌日から起算して3年(かんぽ生命は5年)です。期限や手続きの詳細は、各生命保険会社に確認しましょう。

死亡保険金は、受取人の固有財産で相続財産ではありませんが、相続税法上は「みなし相続財産」として課税対象となる点に注意が必要です。相続税が発生するのは、保険料の全部または一部を被相続人が負担していた場合です。

相続人が死亡保険金を取得した場合は、以下の「非課税の適用」が受けられます。非課税限度額を超える場合、超える部分が相続税の課税対象です。

  • 非課税限度額=500万円×法定相続人の数

参考:No.1750 死亡保険金を受け取ったとき|国税庁
参考:No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁

死亡退職金の請求は5年以内

会社員などが在職中に亡くなった場合、会社から「死亡退職金」が支給されます。受取人は会社の規定によって異なりますが、亡くなった人の配偶者を指定するケースが多いようです。

死亡退職金の請求時効は、行使することができるときから5年間です(労働基準法115条)。請求方法の詳細は、勤務先に確認しましょう。

被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものについては、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。ただし、全額が相続税の対象となるわけではなく、相続人が取得した場合は以下の非課税限度額が適用となります。

  • 非課税限度額=500万円×法定相続人の数

参考:No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金|国税庁
参考:出所:労働基準法115条 | e-Gov法令検索

必要に応じて期限内に手続きを

遺産相続は期限を意識して計画的に。まず行うべきこととは?
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

状況によっては、「遺留分侵害額の請求」「準確定申告」「相続税の更正請求」が必要になるケースもあります。それぞれの期限と手続きの注意点を確認しましょう。

遺留分侵害額の請求は1年以内

遺留分を侵害された場合、遺留分の侵害を知った時から1年以内に「遺留分侵害額の請求」を行いましょう。民法1048条には以下のように記載されています。

(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
第千四十八条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

引用:民法1048条 | e-Gov法令検索

「遺留分」とは、一定の相続人に対し、法律が最低限保証する相続分を指します。遺留分の権利を有する相続人は、「配偶者」「子」「直系尊属(親など)」です。

遺留分を侵害された人は、贈与または遺贈を受けた人に対して、侵害額に相当する金銭の支払請求を行うことができます。

準確定申告が必要な場合は4カ月以内

確定申告を行う予定であった人が年の中途で死亡した場合、相続人が代わりに申告と納税を行わなければなりません。この手続きは「準確定申告」とよばれ、「相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内」が期限です。

本来、確定申告が必要でない人でも、準確定申告をした方がよい場合もあります。例えば、生前の医療費やOTC医薬品の購入費用が高額だった場合は、準確定申告で医療費の還付が受けられます(医療費控除・医療費控除の特例)。

「配偶者控除」や「扶養控除」「寄付金控除」などの控除を受ける場合も、準確定申告が必要です。

亡くなった人が会社員で、年末調整を行う前に他界した場合は、源泉徴収で税金を多く払い過ぎている可能性があり、申告をすれば差額分が還付されます。

参考:No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|国税庁

後発的理由による相続税の更正請求は4カ月以内

すでに行った申告の税額が過大だった場合、減額更正を求める「更正請求」が行えます。更正請求は原則として、法定申告期限から5年以内です(国税通則法23条)。

ただし、相続税法上の後発的事由による更正請求は「それらの事実が生じた日の翌日から4カ月以内」に行う必要があります(相続税法32条)。主な後発的事由として、以下のようなものが挙げられます。

  • 法定相続分に応じて申告しており、遺産分割協議によって未分割の遺産が分割された
  • 未分割の遺産の分割により、軽減措置や特例が適用された
  • 遺留分侵害額の請求によって返還が行われた
  • 申告後に遺言書が発見された
  • 相続人の廃除や廃除の取り消しがあった

必要書類を添付したうえで、所轄の税務署に更正の請求書を提出しましょう。

参考:[手続名]相続税及び贈与税の更正の請求手続|国税庁
参考:国税通則法23条| e-Gov法令検索
参考:相続税法32条 | e-Gov法令検索