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給与から引かれる税金
社会保険料も差し引かれる

給与から引かれる税金

手取り額は年収の7割~8割程度。税金を節約するにはどうすればよい?
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

給与所得者の総支給額から天引きされる主な税金として挙げられるのが、「所得税」と「住民税」です。日本では、年収が上がれば上がるほど多くの所得税・住民税が課されます。

所得税

所得税とは、個人の所得に課される税金です。年間の合計所得金額から所得控除額を差し引いた「課税所得金額」に、一定の税率を掛けて税額を計算します。

日本では、基準を超えた部分の所得に高い税率を課す「超過累進税率」を採用しているため、所得が高ければ高いほど納める税金も多くなる仕組みです(最大税率45%)。

給与所得者は、毎月の給与から所得税が源泉徴収されています。源泉徴収制度は支払者(会社)が所得発生の源で税額を徴収して国に納付する納税制度です。

源泉徴収はあくまでも仮の納税であるため、年間の所得が確定した年末に再計算をして精算しなければなりません。差額を精算する手続きを「年末調整」とよびます。

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

住民税

住民税は「地方税」の一種です。住民税という名称はなく、都道府県が徴収する「道府県民税(東京都は都民税)」と、市区町村が徴収する「区市町村民税(東京都は特別区民税)」の総称を指します。

住民税には、前年の所得金額を基準とする「所得割」と、その地域に住む住人が広く一律に負担する「均等割」があり、それぞれで算出した額を合算して支払うのがルールです。

所得割の税率は一律10%が基本で、道府県民税と市町村民税の分配は以下の通りです。

  • 政令指定都市以外:道府県民税4%・市町村民税6%
  • 政令指定都市:道府県民税2%・市町村民税8%

均等割は通常、5,000円(道府県民税1,500円・市町村民税3,500円)ですが、自治体ごとに多少の違いがあります。

例えば神奈川県では、県民税に追加で「水源環境保全税」を課税しているため、所得割の税率に0.025%、均等割に300円がプラスされています。

参考:地方税制度|個人住民税|総務省
参考:個人の市民税・県民税について|横浜市

社会保険料も差し引かれる

手取り額は年収の7割~8割程度。税金を節約するにはどうすればよい?
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

給与所得者の総支給額からは「社会保険料」が差し引かれます。社会保険料とは、健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険・労働者災害補償保険の5つを指します。

標準報酬月額の決まり方

社会保険料は「標準報酬月額」をベースに算出されます。標準報酬月額とは、報酬月額を区切りのよい幅で区分したものです。

例えば、健康保険の標準報酬月額は50等級に区分されており、該当する報酬月額欄から、「等級」と「標準報酬月額」を求めます。

標準報酬月額はいつ・誰が・どのように決めるのでしょうか? 入社後は、事業主が毎年7月上旬に「定時決定」を実施し、標準報酬月額の見直しを行うのが一般的です。

まず、4月~6月に支払われた給与総額の平均額を算出します。平均額がそのまま標準報酬月額になるわけではなく、保険料額表の等級に当てはめて標準報酬月額を決定します。

決定された標準報酬月額は、その年の9月~翌年8月における保険料の計算で使用され、大幅な給与額の変更がない限り、改定はありません。

参考:標準報酬月額・標準賞与額とは? | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

社会保険料はどのように引かれる?

健康保険料や厚生年金保険料は「標準報酬月額」と「各都道府県の協会などが定めた保険料率」によって決定されます。労使折半が基本で、会社と従業員が半分ずつ負担します。

例えば東京都の場合、全国健康保険協会管掌健康保険料(介護保険第2号被保険者に該当しない場合)の保険料率は9.81%、厚生年金保険料は18.30%です。労使折半となるため、従業員の負担は健康保険料率が4.905%、厚生年金保険料率が9.15%となります。

  • 健康保険料:標準報酬月額×4.905%
  • 厚生年金保険料:標準報酬月額×9.15%

雇用保険料は「賃金総額×雇用保険料率」で算出します。2022年4月1日~9月30日の雇用保険料率(一般の事業)は9.5/1,000(0.95%)で、負担割合は会社が6.5/1,000(0.65%)、従業員が3/1,000(0.3%)となっています。

  • 雇用保険料:賃金総額×0.3%

実際の保険料は人によって異なるため、保険料額表を確認しましょう。

参考:令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表|全国健康保険協会
参考:令和4年度雇用保険料率のご案内|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク