給与所得者が手にする「手取り額」は、一般的に総支給額の7割~8割といわれています。では、給与から天引きされる社会保険料や税金は、どのように計算するのでしょうか? 貯蓄や資産形成をスタートするにあたり、税金の仕組みや手取り額の計算方法を理解しておきましょう。

目次
手取り額とは
手取り額計算におけるポイント

手取り額とは

手取り額は年収の7割~8割程度。税金を節約するにはどうすればよい?
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

会社から給与をもらっている「給与所得者」は、「手取り額」の意味を理解しておく必要があります。資産形成や貯蓄、転職を考える際にも、現時点の自分の手取り額がいくらで、どのくらいの社会保険料や税金が差し引かれているか把握しておきましょう。

「差引支給額」のことを指す

手取り額とは、総支給額から社会保険料や各種税金などを差し引いた「差引支給額」のことを指します。「実際に自分が受け取れる金額」と考えるとわかりやすいでしょう。

会社員は、給与から所得税や住民税、社会保険料などが天引きされるため、総支給額がそのまま受け取れるわけではありません。また、額面から天引きすることを「控除」とよびます。

  • 手取り額(差引支給額)=総支給額-控除額

人によって異なりますが、手取り額は総支給額の7割~8割程度が一般的です。総支給額には、主に以下のような項目が含まれます。

  • 基本給
  • 各種手当(住宅手当・通勤手当・家族手当など)
  • 時間外手当

なお「年収」とは、1年間の給与収入の総支給額を指します。

手取り額計算におけるポイント

手取り額は年収の7割~8割程度。税金を節約するにはどうすればよい?
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

所得税や住民税の計算は、年収に税率を掛けて算出するだけの単純なものではありません。給与所得者の場合、あらかじめ「給与所得控除」や「基礎控除額」などが給与額から差し引かれた金額で計算されます。

給与所得控除

「給与所得控除」とは、所得税の算出をする際に、給与所得者が給与収入から差し引かれる控除です。給与収入から給与所得控除を差し引いた金額は「給与所得」とよばれる点も覚えておきましょう。

以下は、2022(令和4)年の給与所得控除額の一覧です。

収入金額給与所得控除額
162万5,000円まで55万円
162万5,001円から180万円まで年収×40%-10万円
180万1円から360万円まで年収×30%+8万円
360万1円から660万円まで年収×20%+44万円
660万1円から850万円まで年収×10%+110万円
850万1円以上195万円

年収が500万円の場合、給与所得控除額は144万円(500万円×20%+44万円)です。給与所得の金額は356万円(500万円-144万円)ということになります。

年収850万円以上の控除額は一律195万円です。年収が上がれば上がるほど、給与所得控除のメリットを享受しにくくなります。

参考:給与所得者と税|国税庁

最大48万円の基礎控除額

確定申告や年末調整で所得税額の計算をする際は、「基礎控除」が適用されます。合計所得金額から差し引ける控除の一つで、給与所得者はもちろん、個人事業主なども対象です。控除額は、以下の通り納税者本人の合計所得金額に応じて異なります。

納税者の合計所得金額控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円
2,500万円超0円

基礎控除のように、所得から控除できるものは「所得控除」とよばれます。基礎控除を含め、所得控除は全15種類です。給与所得者の場合、給与所得額から所得控除額を差し引いて「課税所得金額」を算出します。

参考:No.1199 基礎控除|国税庁
参考:所得税のしくみ|国税庁

配偶者の有無や扶養人数でも差が生じる

15種類の所得控除のうち、配偶者がいる人に適用される控除として、「配偶者控除」と「配偶者特別控除」があります。

配偶者控除は、納税者の合計所得金額に応じて控除額が変わるのに対し、配偶者特別控除は、配偶者の合計所得金額で控除額が変わるのが特徴です。具体的な控除額や控除対象配偶者となる人の範囲は、国税庁のウェブサイトで確認しましょう。

また、納税者に「所得税法上の控除対象扶養親族」がいる場合は「扶養控除」が適用されます。親族を扶養しなければならない分、税制上の恩恵が受けられます。控除額は、扶養親族の年齢・同居などの有無によって異なります。

参考:No.1191 配偶者控除|国税庁
参考:No.1195 配偶者特別控除|国税庁
参考:No.1180 扶養控除|国税庁