クレバスとは氷河や雪渓に潜む大きな割れ目のことで、登山者が落ちる事故が後を絶たない危険な場所です。底が見えないクレバスに落ちたら?と想像しただけでも恐怖を感じる方が多いのではないでしょうか。登山に潜む危険「クレバス」について徹底的に詳しく解説していきます。

目次
氷河や雪渓に潜む危険
クレバス発生のプロセスと形状
過去クレバスに落ち生還した事故例
救助を断念した悲惨なクレバス事故
登山でクレバスから身を守る心得
日本の登山でクレバスが発生しやすい山
魅力と危険が同居する雪渓を安全に渡ろう!

氷河や雪渓に潜む危険

登山者が恐れるクレバス

【登山知識】氷河の裂け目「クレバス」に落ちたらどうなる?危険から身を守る術は?
(画像=出典:unsplash.com、『暮らし〜の』より 引用)

登山者が氷河や雪渓で最も恐れるのがクレバスの存在です。クレバスの内部は垂直に切り立った氷の壁で、深さが10〜数十メートルにおよび幅は数十センチ〜数メートルと狭く、もし落ちることがあればその衝撃で骨折や脱臼などの怪我は免れず救助も非常に難航します。

仮に運よく底まで滑落せず途中に止まったとしても、底が見えない恐怖と孤独感は想像を絶します。登山者がクレバスを恐れる心理的理由の一つです。

クレバス落下事故は救助できない例が多い

過去にもクレバスに落下し救助できずに死亡した例が多々あります。もちろん救助され生還した例もありますが、救助を断念せざるを得ない場合が多いのも事実です。

それはクレバス内部の深さなどの状況が救助隊にとっても未知で、無理に救助に向かえば二次災害の危険が高いからに他なりません。そのくらいクレバスは未知の領域なのです。今回は登山に潜むクレバスの危険に焦点を合わせ詳しく解説していきます。

クレバス発生のプロセスと形状

①雪上の小さなクラックが成長

【登山知識】氷河の裂け目「クレバス」に落ちたらどうなる?危険から身を守る術は?
(画像=出典:unsplash.com、『暮らし〜の』より 引用)

クレバスが発生するプロセスとメカニズムは意外にシンプルです。氷河や雪渓の上にできたクラックと呼ばれるほんのわずかなヒビ割れが、雪解けとともに次第に大きく成長し登山者が恐れる巨大なクレバスになると考えられています。

意外かもしれませんがクレバスが多く発生するのは春から夏のシーズンです。つまり雪解けが進む時期の雪渓を渡る登山には大きな危険が潜んでいるので細心の注意をはらって渡りましょう。

②クレバス内部の形状

【登山知識】氷河の裂け目「クレバス」に落ちたらどうなる?危険から身を守る術は?
(画像=出典:pixabay.com、『暮らし〜の』より 引用)

クレバスの内部は雪が圧縮されて固まった氷のような壁が垂直に垂直に切り立っています。深さは10メートル前後が多く、建物に例えると3階建てのビルに相当します。その高さをほぼ垂直に落ちるのですから怪我は避けられません。

打ち所が悪ければ死に至ることも多々あります。またクレバスの幅は数センチから数メートルと狭く、もし落ちてしまうと身動きが取れない場合が多く救助もままならない恐ろしい存在です。

③最も恐ろしいヒドゥン・クレバス

クレバスの中でも最も恐ろしい存在がヒドゥン・クレバスです。ヒドゥン・クレバスは割れ目が雪で覆い隠されていてクレバスの存在が発見できません。そのため滑落の危険が高く、隠れた魔物といっても過言ではありません。

割れ目が見えていれば細心の注意をはらって渡ることができますが、雪に隠れているので落とし穴のように思いもよらず突然落下してしまう非常に怖いクレバスです。