「メタバース」という言葉も耳慣れたものとなり、最近ではさまざまな企業が導入しています。

そんななか、窓型のスマートディスプレイAtmoph Window2を展開するアトモフ株式会社は「家ごとメタバース」の実現をめざしています。

同社が挑戦するメタバースとはどのようなものなのか、そしてこれからの「家」の可能性などを代表の姜京日氏に伺いました。

まるで “どこでもドア”!世界とつながる窓型スマートディスプレイ

——まず御社の事業内容についてお聞かせください。

姜:アトモフ株式会社は、「日々を、冒険にする。」を理念に、窓型スマートディスプレイAtmoph Window2を開発しています。

Atmoph Window2は、壁にかけたり、机の上に置いたりするだけで世界とつながれる、“どこでもドア”の窓版のような製品です。Wi-Fiでインターネットにつながり、世界中の風景動画をサウンドと共に楽しむことができます。動画の種類は現在1500ほどあり、毎月どんどん増えています。

漫画家や作家、音楽家、建築家といった職業の方々にも愛用者が多く、たとえば漫画『ONE PIECE』の作者である尾田栄一郎先生も当社の製品の愛用者として知られています。

——テレビやパソコンではなく、窓を通した風景という点が、創作意欲のようなものを刺激するのかもしれないですね。

姜:窓としての開放感に加え、窓を通したユーザー同士のつながりも大切にしています。同じ風景を見ている人数が表示されたり、各地のリアルタイムの風景を見ることができたりと、風景を通して人と時間を共有できます。

また、現代において“よく住む”ことを考えるとき、ただ自然があればいいというわけではなく、情報とつながっていることも必要です。Atmoph Window2は、Googleカレンダーとの連携や、決まった曜日と時間にアラートができるデイリールーティーン機能など、ユーザーの生活を便利にする機能も兼ね備えています。

2022年の春には、ジェスチャー操作にも対応し、「進化する窓」として、新しい機能や体験をアップデートし続けています。


——御社は2014年創業とのことですが、これまでニーズの変化などはありましたか?

姜:創業当時は窓型スマートディスプレイの魅力を伝えるのに苦労しました。「わざわざ窓で風景を見なくても、現地に行けばいいのでは?」と言われることもありましたね。

しかし、コロナ禍で自由に移動できなくなったり、在宅ワークが普及したりするなかで、「Atmoph Window2から風景を眺めることで旅行に行っている気分になれる」といった声が多く聞かれるようになりました。実際に、個人のユーザーの割合が高まっています。家のなかの環境をよりよくしたいと思う人が増えたのでしょう。

——世界の風景を独り占めできるなんて、贅沢ですもんね。動画作りでこだわりはありますか?

姜:撮影に使っているのは、高画質の6Kのカメラです。現地に当社メンバーが直接行ったり、世界各地にいるプロのカメラマンに協力を依頼したりして対応しています。

ポイントは、すべての動画を人間が窓から自然に見ているようにすること。構図や水平線の位置など、窓からの見え方というのは、人間の目の構造から決まっているものなのですが、YouTubeなどで見るほとんどの動画はそうなっていません。

当社では、人間が窓から見たときと同じ景色になるよう、画角や構図を決めて撮影しているんです。