100円均一維持のメリット

次に、2.「シェア獲得の好機」について。

100円均一ショップは、ショッピングモールやデパートなどの商業施設への出店、いわゆる「インショップ出店」が行いやすい業種です。集客力があるため、商業施設から歓迎されるからです。

セリアが「唯一の100円均一ショップ」となった場合、競合他社の「300円・500円ショップ」を出し抜き、店舗数を大幅に増やす可能性があります。

商品アイテム減少のリスク

しかし、店舗数の増加が、そのまま「シェア」拡大につながるとは限りません。1店舗当たり売上が減る可能性があるからです。セリア代表取締役社長 河合映司氏は、日経ビジネスの取材で、以下のように述べています。

「価格は100円と決めて、それを達成できる協業先を探している」

100円ショップ大手が高価格帯商品 広がる「脱100円」、もろ刃の剣 (2ページ目)|日経ビジネス電子版

セリアの取り扱いアイテム数は、20,000点。これを月に500~700品目入れ替えます。これを支えているのが、共同開発する「協業先」です。

原材料費高騰の中、この協業先を確保できるか。万一、確保できない場合、新商品開発のペースが遅くなる。アイテム数が減少する。伴い、店舗あたり売上が減少する。店舗数は増えたのに、売上はあまり増えない。そういった事態も起こり得るのです。

セリアが、シェアを伸ばすには協業先確保が課題となるでしょう。

強靭になることを期待

様々なものが値上がりする中で、100円という低価格を維持してきた100均。今後、価格が100円を超えるようになっても、高いパフォーマンスが求められることに違いはありません。原材料費高騰という逆境を乗り越え、100均がより強靭になることを期待したいと思います。

※1 2021年8月決算値より算出
※2 2022年4月値 日銀 2022年5月16日発表
※3 セリア有価証券報告書2021年3月31日にて試算

文・関谷 信之/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判 する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?