セリアは100円均一維持を明言
100均の大手4社中、唯一「100円均一維持」を明言しているのが、「seria」を展開する株式会社セリア(以下セリア)です。セリアは有価証券報告書(2021年6月発表)にて、以下のように述べています。
同業他社は、100円を超える価格の商品の取り扱いを開始、拡充する動きを見せており、当社は「100円商品に特化する」ことで、100円商品の「シェア獲得の好機」と考えております
(第34期 有価証券報告書 2021年6月24日)
ポイントは
1.「100円商品に特化する」(=他社の逆張り)
2.「シェア獲得の好機」(=店舗を増やす)
のふたつです。最初に 1.「100円商品に特化する」について考えます。
キャンドゥの10倍、ワッツの3倍超の利益率
この、強気の意思決定の背景には、高い利益率があります。
さきに、100均の利益構成を述べました。セリアと他社を詳しく比較すると、セリアには余裕があることがわかります。

キャンドゥ:「売上原価:62% 販管費:37% 営業利益:1%」
ワッツ:「売上原価:62% 販管費:35% 営業利益:3%」
セリア:「売上原価:57% 販管費:33% 営業利益:10%」
セリアの利益率は、他社より大幅に高い。仮に原価が18%アップしても、営業黒字を維持できる計算になります(※3)。セリアは他社よりも、原材料費上昇に耐性がある、と言えます。
なぜ、セリアは利益率が高いのか。
要因のひとつは、「食べ物を売らないこと」です。
セリアの大半の店舗は「飲食品」を扱っていません。利益率が低い食品をラインナップから除外することで、全体の利益率を向上させています。
もうひとつの要因は、「商品をメーカーと共同開発していること」です。
完成品を仕入れ販売する他社と異なり、セリアは商品の多くをメーカーと共同開発します。開発という製造の上流工程に踏み込む。そのことにより、「100円で売るための」原材料を採用する、などコスト管理を行いやすくしているのです。