シャトレーゼのビジネスモデル
シャトレーゼの成長要因の1つは、フランチャイズの活用です。
1986年にオープンした、工場直売のフランチャイズ1号店が、爆発的に成功(※)。ロイヤリティを取らない独自の制度も後押しし、全国各地から出店申込みが相次ぐことに。その結果、現在は国内556店舗を展開するまでに拡大しています。
まず、高収益の「手本」となる店舗を作る。その店舗をきっかけに、フランチャイズ加盟店を増やす。
これが、シャトレーゼの成功体験です。ビジネスモデルと言っても良いでしょう。
亀屋万年堂においても、同様のビジネスモデルを適用しようとしています。
2021年度、山梨でまず新たな亀屋万年堂の店舗を一から作り上げる。売り上げ1億円以上の売れる店舗を示し、フランチャイズチェーン(FC)での出店を募集して全国展開する
シャトレーゼ会長「和菓子店を全国に」 亀屋万年堂買収: 日本経済新聞
「フランチャイズに不安はあるけど、亀屋万年堂だったら、やってみようか」
そう思わせる亀屋万年堂の高い知名度。そして、シャトレーゼのフランチャイズチェーンノウハウ。買収される側とする側、双方の強みの相乗効果によって、加盟店増が期待できる。
この買収は、シャトレーゼの全国展開の手段として、大いに有効と思われます。
全国展開の課題
では、シャトレーゼの狙い通り、フランチャイズチェーンは順調に拡大するのでしょうか?
供給面、需要面とも課題があります。
シャトレーゼは、原材料の多くを自社地元の山梨近隣から調達しています。遠隔地での現地生産が難しい。このことは、全国展開への足枷となる可能性があります。海外向けの生菓子輸出で行っている「冷凍」技術を、国内でも採用する必要があるかもしれません。
また、少子化や都心への人口流出などによって、シャトレーゼの郊外ロードサイト店の出店ペースは鈍りつつあります。今後の、和菓子需要の動向を見極める必要がありそうです。
企業文化の維持を
戦後の砂糖不足の時代でも、「サッカリンだけは使わない」というポリシーを守った亀屋万年堂。国が定める基準細菌数の「200分の1」を社内基準とするシャトレーゼ。
両社とも、安心・安全を重視する企業文化を持っています。この企業文化を維持し、今後も安価で美味しいお菓子を提供いただきたい。一ファンとして、そう願っています。
[ 参考 ]
※1 原材料
死角はあるか?コスパ最強の洋菓子店シャトレーゼ快進撃の秘密(まぐまぐニュース!)
株式会社シャトレーゼのウェブサイト。フランチャイズオーナー募集
シャトレーゼ、亀屋万年堂を買収 和菓子FC展開へ(日本経済新聞)
「コンビニは敵ではない」急成長シャトレーゼの60円アイスがやけに美味いワケ 不二家は大量閉店しているのに…(プレジデントオンライン)
シャトレーゼ、郊外で鍛えた力を海外で生かす(日経ビジネス電子版)
文・関谷 信之/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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