あの「お菓子のホームラン王」が?

シャトレーゼの亀屋万年堂買収。驚いた方も多かったのではないでしょうか。「ナボナ」で有名な亀屋万年堂。安価で豊富な商品群のシャトレーゼ。どちらも、売り物はお菓子ですが、用途は大きく異なります。

「人」を喜ばせるためのお菓子を売る、亀屋万年堂。

「自分」で楽しむためのお菓子を売る、シャトレーゼ。

全く逆なのです。

それに伴い、価格設定・ブランド戦略も異なってきます。

今回は、亀屋万年堂の「ナボナ」と、シャトレーゼの「豊酪(ほうらく)」を軸に、両社の買収について考察したいと思います。

シャトレーゼが「お菓子のホームラン王」を買ったわけ
(画像=左から、豊酪、ナボナ(パイン)、ナボナ(チーズ) (筆者撮影)、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

シャトレーゼのブッセ「豊酪」とは

シャトレーゼにも、亀屋万年堂の「ナボナ」とよく似た、ブッセ菓子「豊酪」があります。

安くて美味しい。筆者も常に買い置きしています。

美味しさの秘密はクリームにあります。

ゴルゴンゾーラやチェダーなどのチーズに、角切りチーズ・くるみ・はちみつなどを混ぜ込んだクリームは絶品。クリームの味だけに限定すれば、「ナボナ」以上ではないでしょうか。クリームをはさむ生地は、しっとり、しっかりしたもの。パサつかず、チーズクリームとの相性が抜群です。

素材は、地元である山梨近隣のものを用いています。

水は、日本名水百選にも選ばれた「白州名水」。卵は、契約農家の鶏がその日に生んだもの。牛乳は、八ヶ岳の契約農家の搾りたてを低温殺菌したもの(※1)。

これら、厳選された素材を使う一方、コストは、仕入・製造・販売の一貫体制により徹底的に低減。結果、「豊酪」の価格は「100円」と安価に抑えられています。

美味しくて安い。まさに「自分が楽しむ」ためのスイーツです。販売時期を、秋から春先までに限定するのは、チーズの風味が薄れるから。品質へのこだわりが感じられます。