亀屋万年堂の「ナボナ」とは

対して、「ナボナ」とはどのような商品なのでしょうか。

ナボナを食べるのは子供の頃以来。しばらくぶりの感想は

「ナボナってこんなに美味しかったっけ?」

でした。

きめ細かく丁寧に作られた生地。かすかに記憶に残る、パサついたものとは雲泥の差です。

シャトレーゼが「お菓子のホームラン王」を買ったわけ
(画像=左:豊酪、右:ナボナ(筆者撮影)、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

以下の記事によると

「スポンジ(ナボナの皮)や製法などを、時代の好みに応じて少しずつ改良しているのです」
亀屋万年堂の横浜工場に潜入! 銘菓「ナボナ」の隠れた秘話とは?(はまれぽ.com)

とのこと。クリームの味はやや「豊酪」が上回るものの、生地は「ナボナ」のきめ細かな舌触りが勝る。美味しさ・品質は、同等と言って良いでしょう。大きさもほぼ同じ。にもかかわらず、ナボナの価格は「180円」と、豊酪の100円より大幅に高く設定されています。この価格差80円の要因は何か?

ブランド力です。

シャトレーゼが欲しかったもの

筆者は、これまでナボナを自分で買ったことはありませんでした。ナボナは人からもらうもの。そんなイメージが強かったのです。

「自分」で食べるために買う「豊酪」に対し、「人」を喜ばせるために買う「ナボナ」。ナボナは、贈答品としての地位を確立しています。贈答品たらしめているのが「ブランド力」です。

「ナボナはお菓子のホームラン王です」

昭和世代なら誰でも知っている、このキャッチコピー。亀屋万年堂の知名度は全国レベルです。そして、非常に強いブランド力があります。

このブランド力こそ、シャトレーゼが欲していたものです。

ブランド力・全国的知名度を活用し、新たなフランチャイズチェーンを展開すること。これが、シャトレーゼが、亀屋万年堂を買収した目的です。