目次
3. 熊野那智大社へのアクセス方法とその見どころ
4. 熊野那智大社に隣接する「那智山青岸渡寺」の見どころ
3. 熊野那智大社へのアクセス方法とその見どころ

参道入口近くにある「那智山バス停」までは、那智駅からバスで約15分、480円です。熊野那智大社に行ってから那智の滝を回ると下り坂で疲労も少なく、短時間で回ることができます(熊野那智大社は那智の滝より標高が高い場所にあるため)。
逆に標高が低い場所にある「大門坂バス停」で降りた場合は上り坂。石段を上る本格的な熊野古道のコースを味わいたいという方は、大門坂から回るのもよいでしょう。
大門坂バス停からのルートも面白いですが、今回は初めて訪れる方にオススメの「那智山」ルートでご紹介していきます。

参道入口から急な石段を登っていくと、「那智詣」の迫力ある文字が目の前に飛び込んできます。
石段の左右には沢山のお土産屋が軒を連ねています。那智に来た記念のキーホルダー、書道などで使える那智黒硯(すずり)、アンティークな鉛筆削りなど、定番のお土産から風変りなものまで、様々な物品がずらり。お土産選びに夢中になって、石段を登る疲れも忘れてしまいます!

石段から後ろを振り返ると、那智の穏やかで深い山々が。まるで参拝に向かう人々を見守っているかのようです。

途中、観世音菩薩が祀られている場所にたどり着きます。ここまでくれば熊野那智大社へもあと少し。このお堂のすぐ右脇には庭が広がり、こちらからも山々の絶景が楽しめます。

大きな赤い鳥居をくぐると熊野那智大社の社殿はもうすぐそこ!高揚感を覚えます。
鳥居を入るとすぐ左側に手水舎、右側には児宮があり、授児安産や無事育成といったご利益があるのだとか。

もう一つ鳥居をくぐると、ついに熊野那智大社に到着です。社務所横からは、熊野那智大社の全容が眺められ、その神秘的で美しい姿に感動するでしょう。
熊野那智大社本殿は、2019年末までなら特別に案内してもらえます。興味のある方は2019年内に問合せしてみてください。

拝殿前にはお清めの護摩木(ごまぎ)があります。「護摩」とは、供物(くもつ)を焼くと同時に煩悩を焼く、ということを意味するそうです。

煩悩における三毒とは、貪欲、怒り、愚痴の3つ。人間の根本にある煩悩を焼き、決意を新たにして福が来ることを願うのです。
護摩が終わったら奥の拝殿へもお参りしましょう。

拝殿の左側には、御縣彦社(みあがたひこしゃ)があります。手前にあるのは、熊野の神様のおつかいである三本足のカラス・八咫烏(やたがらす)の像。こちらの八咫烏については、後ほど詳しく説明します。

そして、いよいよ最奥の第一殿から第五殿へ。とても神聖な空気に圧倒され、社殿の迫力に息をのみます。

その社殿が立ち並ぶ手前には「烏石」があります。ここでいう烏とは先ほどご説明した八咫烏のこと。
八咫烏は初代天皇・神武天皇が熊野の山を越える際、道案内役として活躍したカラスのことで、神武天皇が大和(今の奈良県)にたどりついたのを見届けると熊野の地に戻り、石となって休んだのがこの烏石と言われています。
神武天皇が大和にたどり着いたのちに日本を統一し、大和朝廷をつくったことを考えると、八咫烏や熊野という土地は「日本誕生」と深く関わっていると言えるでしょう。
見過ごしてしまいそうな一つの石でさえも、歴史的に大きな意味を持つ熊野の地。こうした一つ一つの物語が、熊野をより神秘的な場所にしています。

拝殿の正面から見て右側にはおみくじなどが売っている場所があります。普通のおみくじと日本一大きなおみくじという2種類のおみくじがあり、どちらも1回100円です。
日本一大きなおみくじは、長さ133cmの細長い柱状の箱を抱え、中にあるおみくじを引くというもの。旅の思い出に試してみるのも面白いでしょう。

おみくじが引ける場所の裏手には、「胎内くぐり」ができる場所があります。願い事を書いた護摩木を持って木の中をくぐれば、病気をせず、長生きができると言われています。
4. 熊野那智大社に隣接する「那智山青岸渡寺」の見どころ

熊野那智大社に並ぶようにして、那智山青岸渡寺(せいがんとじ)という寺院もあります。もともと熊野は日本古来の神道と、外来の仏教を1つの信仰として考える神仏習合の地として有名でしたが、後に明治政府の政策で那智大社と青岸渡寺に分離しました。
那智山青岸渡寺は、近畿二府四県と岐阜県にまたがる西国三十三箇所の第一番札所とされています。熊野詣が盛んになった12世紀後半、観音信仰の重要な拠点にもなりました。

那智山青岸渡寺は太くて美しい木の柱が魅力的。近くで見るととても迫力がありますので、ぜひ中に入ってみてください。

数分歩いたところには那智山青岸渡寺の三重塔があり、一層目に飛瀧権現と不動明王、二層目に尼子十勇士と阿弥陀如来像、三層目に千手観音菩薩が祀られています。
この塔の近くからは那智の滝も眺められるので、三重の塔とともに写真を撮るのもオススメです。

道なりに下っていくと、熊野古道らしい石段が続きます。周りはうっそうとした木立に包まれ、静かでおごそかな雰囲気の道が、那智の滝へと導いてくれます。

足がつらい方や転びやすいという方には杖の無料貸し出しも。杖を持っているだけで、信仰の道を歩く山伏の気分をちょっぴり味わえることもできそうです。