目次
相続関係説明図作成のための事前準備
相続関係説明図の作成手順
相続関係説明図作成のための事前準備

相続関係説明図は作成方法や書式に決まりがなく、弁護士や司法書士などの専門家に依頼しなくても、自分で作成することが可能です。作成にあたり、必要な書類やツールを確認しましょう。
必要書類をそろえる
相続関係説明図は、被相続人と相続人との関係性を示したものです。従って、「相続人であること」と「ほかに相続人がいないこと」を証明するためには、以下のような公的な書類が必要です。
- 被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票
結婚すると新たな戸籍が設けられるため、戸籍謄本は結婚や離婚のたびに変更されます。被相続人の戸籍謄本は「出生から死亡時までのすべてのもの」を用意しましょう。
戸籍謄本の取得は、電子申請、郵送での取り寄せ、役場に直接行くなどいくつかの方法があります。コンビニで取得できるケースもあるようです。
ただし、コンビニや電子申請についてはできる地域とできない地域があるため、まずは本籍地がある市区町村役場がどのような取得方法を用意しているかを確認する必要があります。
相続人を確定する
必要な書類を収集したあとは、相続人を確定する作業を行います。集めた戸籍謄本を確認しながら、法定相続人の範囲や人数を確認していきましょう。
法定相続人には以下のような優先順位があり、上の順位の人がいない場合に下位順位の人に相続の権利が移行します(配偶者は常に相続人)。
- 第1順位:被相続人の子
- 第2順位:被相続人の直系尊属(父母や祖父母)
- 第3順位:被相続人の兄弟姉妹
相続関係説明図には親族すべてを記載する必要はなく、「相続に関連する人のみ(すでに死亡している人を含む)」で構いません。
例えば、父親・母親・子どもの家族構成で、父親が亡くなった場合、配偶者である母親と相続の第1順位である子どもが相続人です。記載が必要なのは、被相続人(父親)・母親・子どものみで、被相続人の親や兄弟姉妹は記載の必要がありません。
ひな形やソフトを用意する
相続関係説明図は、手書き・PCのどちらで作成しても構いません。相続関係が複雑な場合は、ひな形やソフトを利用した方が作成が容易なうえに見栄えもよいでしょう。
PCで作成する際は、法務局のウェブサイトで公開されている「テンプレート(主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例)」が役立ちます。
法定相続情報一覧図の作成用ですが、必要な記載内容は大きく変わりません。利用時はタイトルを「相続関係説明図」に変更しましょう。
市販の「相続関係説明図の作成ソフト」を使う手もあります。必要な情報を入力するだけで、相続関係説明図を自動で作成してくれるため、PC操作が苦手な人にもおすすめです。
参考:主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例|法務局
相続関係説明図の作成手順

相続関係説明図には、被相続人と相続人の情報と関係性を記載します。法律で書き方が決まっているわけではありませんが、誰が見ても関係性がすぐにわかるように、習慣に倣って表記するのが一般的です。
名前・続柄・生年月日などを記載する
誰の相続関係説明図なのかが明確にわかるように、タイトルは「被相続人(名前)相続関係説明図」とします。被相続人については以下の情報が必要です。
- 住所(被相続人の最後の住所)
- 死亡日
- 被相続人であること(「被相続人」と記載)
- 氏名
住所は「被相続人の最後の住所」です。戸籍謄本や住民票を確認しながら、誤りがないように記載しましょう。
各相続人については、以下の情報を記載します。
- 住所
- 生年月日
- 被相続人との続柄(「長男」「配偶者」など)
- 氏名
- 相続分
遺産分割協議の結果、法定相続分(民法で定められた相続分)以外の割合で分割することになった場合は、実際の相続分を記載しましょう。
また、被相続人が離婚をしていて、元配偶者との間に子どもがいる場合、その子どもは法定相続人です。法定相続人である子どもの箇所には、住所・生年月日・被相続人との続柄・氏名を記載します。
親族関係を線でつなぐ
続いて、被相続人と相続人を線でつなぐ作業を行いましょう。線のつなぎ方は以下のようにします。
- 配偶者:二重線
- 子ども:一本線
被相続人と配偶者の間は二重線でつなぎ、子どもがいる場合はその間から一本線を引きます。
被相続人が離婚した場合は「元配偶者の下の名前」と「離婚年月日」を記載したうえで、婚姻関係を表す二重線の上に「×」を付けましょう。再婚した場合は、配偶者を二重線でつなぎ、再婚であることがわかるように「再婚年月日」を記載します。
配偶者と死別している場合は、×を付けずに「死亡年月日」を記載するのがルールです。
「相続」または「分割」と記載する
相続財産の中に土地や建物などの不動産がある場合は、誰が不動産を相続したのかを明確に示す必要があります。相続登記に使用する相続関係説明図に関しては、以下のように表記しましょう。
- 不動産を相続した人:名前の後ろに「相続」と記載
- 不動産を相続しない人:名前の後ろに「分割」と記載
法定相続人の中に相続放棄をした人がいる場合は、名前の後ろに「相続放棄」と記載します。相続放棄によって相続順位の変動があったことがひと目でわかるでしょう。