遺産相続では、故人を取り巻く相続関係がややこしいケースがあります。相続関係説明図は故人と相続人の関係性を図式化したもので、数次相続や代襲相続などの複雑な相続もひと目でわかるのがメリットです。相続関係説明図の活用場面や作成手順を解説します。

目次
相続関係説明図とは?
相続関係説明図が必要な理由

相続関係説明図とは?

相続関係説明図は何に使う? 利用シーンと書き方の手順を解説
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

身内に相続財産がある場合、相続人同士で財産の分割方法を話し合う必要があります。事前に「相続関係説明図」を作成しておくと、その後の遺産分割協議や各種手続きがスムーズに進むでしょう。

故人と相続人の関係を図式化したもの

。配偶者や子ども、親などを線で結び、その関係性をわかりやすく示したものと考えましょう。

相続関係説明図は、遺産分割協議や財産の名義変更の際に役立ちます。必ず作成をしなければならないわけではありませんが、事前に作成しておいた方が、話し合いや手続きが円滑に進むでしょう。

遺言書がない場合、民法に定められた「法定相続人」が財産を相続するのが原則です。法定相続人には相続の優先順位があり、実際に相続できる人が決まっています。「相続人調査」によって相続人を確定させたあとに、相続関係説明図を作成しましょう。

法定相続情報一覧図との違い

相続関係説明図と混同しやすいものに、「法定相続情報一覧図」があります。どちらも故人と相続人の関係性を一覧にまとめたものですが、いくつかの相違点があります。

です。相続関係説明図よりも信頼性が高く、さまざまな手続きにおいて重宝します。

一方、。

また、法定相続情報一覧図は記載事項が決まっているのに対し、相続関係説明図は「遺産分割」や「相続放棄」といった事項も自由に記載できるのが特徴です。数次相続や代襲相続などの特殊な相続も1枚の紙にまとめて記載できるため、法定相続情報一覧図よりも柔軟性が高いといえるでしょう。

相続関係説明図が必要な理由

相続関係説明図は何に使う? 利用シーンと書き方の手順を解説
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

相続関係説明図を事前に準備した方がよいのは、なぜでしょうか? 「相続関係説明図があると便利な場面」「提出が必要な場面」「提出するとメリットがある場面」についても解説します。

複雑な相続関係がわかりやすくなる

です。「数次相続※1」や「代襲相続※2」といった複雑な相続関係も容易に把握できるため、手続き先の担当者や弁護士などに言葉で説明をする手間が省けるでしょう。

※1 数次相続とは、遺産相続の手続きを行わないうちに相続人が死亡し、次の遺産相続が開始されてしまうケースを指します。
※2 代襲相続は、相続人が被相続人よりも先に他界している場合に、相続人の子(孫やおい、めいなど)が代わりに相続をすることです。

相続関係説明図が必要な手続きがある

財産を相続するにあたり、相続関係説明図の提示や提出を求められる手続きがあります。以下はその一例です。

  • 相続登記(不動産の名義の書き換え)
  • 金融機関における預貯金の解約・払い戻し
  • 家庭裁判所への遺産分割調停の申し立て

相続登記(不動産の名義の書き換え)

不動産を相続した際には、不動産を管轄する法務局で「相続登記」を行うのが原則です。手続きに際し、被相続人の戸籍謄本や相続関係説明図などを準備します。

金融機関における預貯金の解約・払い戻し

金融機関で被相続人名義の預貯金を解約や払い戻しをする際には、必ずしも必要なわけではありませんが、相続関係説明図があると手続きがスムーズに進みます。必要書類の詳細は金融機関ごとに異なるため、事前に確認を取りましょう。

家庭裁判所への遺産分割調停の申し立て

相続人の間で遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることが可能です。申し立ての際は、申立書や遺産目録、当事者目録などと一緒に相続関係説明図を提出します。

登記調査後に戸籍謄本などが原本還付される

相続登記の際は、被相続人の出生から死亡時までのすべての戸籍謄本(原本)が必要です。原本還付の手続きをしない限り、原本は手元に戻らないのが通常ですが、相続関係説明図を提出した場合は、法務局の登記調査が完了したあとに原本還付を受けられます。

遺産相続の各種手続きでは、戸籍謄本の提出や提示を求められるシーンが多々あります。原本を手元に残しておけば、市区町村役場に何度も足を運んだり、原本を何セットも準備したりする手間が省けるでしょう。