目次
5. 近江神宮は「かるたの殿堂」だった!
6. 近江神宮で参拝! 入り口から外拝殿までのルートをご紹介
5. 近江神宮は「かるたの殿堂」だった!

「秋の田の 仮庵(かりほ)の庵(いほ)の苫(とま)をあらみ
わが衣手(ころもで)は露に濡れつつ」
小倉百人一首の1番目に登場するこの歌は、近江神宮の御祭神、天智天皇の詠んだものです。小倉百人一首が完成した年代は不明ですが、13世紀(1200〜1300年頃)と推測されています。飛鳥時代から鎌倉時代にかけての歌を集めた作品で、並び順は作品の古い順なのだとか。天智天皇の詠んだ歌が最も古いため最初の歌となり、競技かるた大会の開催地がこの近江神宮になったのも、天智天皇が祀られているからだと言われています。
毎年1月、競技かるたの「名人位・クイーン位決定戦」が近江神宮で行われており、選手や愛好家たちの間では憧れの場所になっています。さらに読手講習会やかるた選手権大会、かるた祭りなど、かるたにまつわる催し物が年中盛んに行われていることから、近江神宮は「かるたの殿堂」とも呼ばれ、親しまれてきました。
そもそも「競技かるた」って何?

「競技かるた」という名前は聞いたことがあるかもしれませんが、一体どんな競技なのかと疑問に思う方も多いでしょう。
競技かるたの歴史は明治時代よりも前にさかのぼります。地方によって様々なルールがありましたが、昭和37年にルールが統一され、徐々に人気を集めていきました。
まず小倉百人一首のうち、無差別に選ばれた50枚を自分の陣地と相手の陣地に25枚ずつ並べます。最初に15分間の暗記時間が設けられ、選手はその時間内にかるたの位置を暗記。そして読手がかるたを読んでいき、読まれた札に相手より速く触れることができれば自分の取り札となります。さらに相手の陣地にある札をとった場合、自分の陣地の札からの中から一枚を相手に渡すことができ、自分の陣地の札を相手より先に無くした方の勝利となります。
競技かるたは一見簡単そうにも見えますが、集中力や反射神経、精神力が必要とされ、かなりの体力も要します。「畳の上の格闘技」と称されることもあり、文化部ではなくスポーツ・運動部の一種として認識されているのだとか。
若い世代から年配の方々まで幅広い年齢層に人気の競技かるた。日本人として何十年、何百年後の人々まで伝えていきたいと思える、そんなスポーツなのです。
6. 近江神宮で参拝! 入り口から外拝殿までのルートをご紹介
近江神宮への散策順路をご紹介していきましょう。

今回は京都駅からJR湖西線で10分ほどで着く大津京駅から徒歩で向かいました。

大津京駅から近江神宮までは歩いて15分ほど。遠いと感じる方はJR大津京駅から京阪石山坂本線に乗り換えれば、最寄りの近江神宮前駅まで2分で着きます。

これは近江神宮の境内の入り口から反対側を写した風景です。
ちょうど通っている緑の電車は、京阪石山坂本線。電車の中と外は緑で統一されていて、ローカル線らしいレトロな雰囲気があります。
一の鳥居

最初に見えてくるのがこの一の鳥居。実はこの鳥居、「明神鳥居(みょうじんとりい)」と呼ばれるもので、登録有形文化財に指定されています。入り口に大々的にあるので近江神宮のシンボルにもなっています。ここからしばらく参道を歩いていきますが、ご覧の通り沢山の木々に囲まれており、「御神域」という言葉がぴったりな神秘的な空間です。
二の鳥居

一の鳥居を進むと見えてくるのがこの二の鳥居。
実はこの二の鳥居も登録有形文化財。先ほどの一の鳥居と同様、明神鳥居です。階段を登ってさらに進みます。
歌碑・句碑

二の鳥居を進むと、様々な大きさの石に刻まれた歌碑や句碑がずらーっと見えてきます。

美しい琵琶湖は詩情があふれているのでしょうか、滋賀は数々の有名俳人が多いことでも知られています。その証拠に、近江神宮の境内には13もの有名な歌人や句人の歌碑・句碑が点在しており、それもまた、近江神宮参拝目的の一つともされています。松尾芭蕉もそのうちの一人で、江戸時代中期に琵琶湖に近い伊賀の地域で生まれており、松尾芭蕉を慕う多くの俳人たちが近江に集まったそうです。

以下が境内にある歌碑や句碑の作者一覧です。
- 芭蕉句碑
- 天智天皇御製碑
- 横井時常歌碑
- 平田貫一歌碑
- 香川進他歌碑
- 保田與重郎歌碑
- 春日真木子歌碑
- 伊藤香舟女句碑
- 桂樟蹊子句碑
- 高市黒人歌碑
- 柿本人麻呂歌碑
- 吟友の碑
境内のあちこちに点在するこの歌碑・句碑は、近江神宮にはなくてはならないものとなっています。
手水舎

右に進むと見えるのが手水舎。

こちらの手水舎も登録有形文化財に指定されています。手水舎での基本的な清め方は、「左手・右手・口」。そして最後に「左手」の順に行います。
楼門

手水舎を進むと左手に見えるのが朱塗りの楼門。木々の緑の中に映える朱塗りはとても綺麗です。

右手に進むとすぐに神符授与所があります。なんとこの楼門・神符授与所・外廻廊も登録有形文化財!文化財の数の多さに圧倒されますね。
外拝殿

そして、楼門の先に見えるのが外拝殿。

一般客が参拝出来るのはこの外拝殿まで。外拝殿から先には内拝殿が見え、さらにその奥には御本殿があります。
近江神宮は旧官幣大社で、全国16つのうちの一つの勅祭社(ちょくさいしゃ)※であり、建物は「近江造り・昭和造り」と言われています。この拝殿から向こうはなんとも言えない古代のような風情のある雰囲気。文化財の建物に囲まれた場所での参拝は、とてもおもむきがあります。
※勅祭社『天皇が特に勅使をつかわし,その祭神に幣帛を奉る (これを勅祭という) 神社』(ブリタニカ国際大百科事典より引用)
漏刻

こちらは境内にある昭和39年オメガ社総代理店、シイベルヘグナー社より奉納された、天智天皇が設けたとされる漏刻(水時計)の復元です。

御祭神天智天皇は実は日本で初めて「時間」というものを国民に伝えた人物でもあり、その功績は日本書紀にも記されています。日本書紀によれば、671年4月25日、大津宮の内裏に漏刻(ろうこく)を置いて、太鼓や金の音を鳴らして国民に時刻を伝えていたと記されています。4月25日は太陽暦で示すと6月10日であり、大正9年(1920年)にこの日を「時の記念日」と定めました。
古代の火時計

こちらは昭和54年にロレックス社から奉納された、古代の火時計の復元模型。約4000年前に中国で夜間の時間を計るものとして用いられたものだそう。

世界的に有名な時計ブランド2社から奉納されるほど、日本の時刻の発祥地として由緒ある場所なのですね。
栖松遥拝殿


こちらは「栖松遥拝殿」(せいしょうようはいでん)。遥拝式が行われる全国の社寺遥拝場だそうです。
時計館・宝物館
そして近江神宮に訪れたらもう一つ行くべき施設が、時計館・宝物館。この時計館・宝物館は近江神宮の祭神天智天皇が日本で初めて時間というものを日本の国民に知らしめたことにちなんで建てられ、時計博物館としては日本で初めてなのだそうです。
日本最古級の懐中時計など約3,200個もの時計が展示されており、その中でも江戸時代中期に活躍した絵師、曾我蕭白(そがしょうはく)の「絵本墨画淡彩楼閣山水図」はとても有名です。
【時計館・宝物館の基本情報】
■住所:滋賀県大津市神宮町1−1(近江神宮境内)
■営業時間:9:30~16:30(入館16:15まで)
■観覧料:一般 300円 小・中学生150円
■駐車場:無料(近江神宮駐車場)
■定休日:月曜日(祝日の場合は会館)
■車でのアクセス:名神高速道路 京都IC方面より約10分
■電車のアクセス:京都駅よりJR湖西線「大津京駅」下車、徒歩約20分
近江神宮の御朱印

こちらが近江神宮の御朱印です。楼門の側の神符授与所でいただくことができます。お守りや絵馬なども沢山おいてあります。