京都駅から最寄り駅まで電車で10分、滋賀県大津市神宮町に位置する「近江神宮」(おうみじんぐう)。日本が誇る琵琶湖と、美しい山々のふもとに囲まれるように鎮座する神社です。創建は昭和15年と歴史が浅いように感じるかもしれませんが、実はこの大津の地、古代からの深い深い歴史に刻まれる重要な場所なのです。
大人気漫画が映画化されたロケ地にもなり、近年さらに人気を増してきている近江神宮。神社やお寺巡りが好きな方、これから滋賀へ旅行予定の方、ファンの方など、多くの方に近江神宮を知っていただけるよう、その歴史や魅力について取材をもとにご紹介します。
目次
1. 登録有形文化財だらけの大津市!
2. 近江神宮の御祭神とご利益
1. 登録有形文化財だらけの大津市!
滋賀県琵琶湖の南西のほとりに、細長く南北に広がる大津市。西には京都との境に位置する比叡山があり、水と緑に囲まれた自然豊かな場所に位置しています。
大津市の地図
聖徳太子が開創したお寺や紫式部が源氏物語の執筆を始めたと言われているお寺など、滋賀には数多くの古寺が点在しています。国で指定されている文化財の数の多さは京都や奈良、東京に劣らず、その多くが大津市の神社仏閣に存在しています。
今回ご紹介する近江神宮にも、登録有形文化財に指定されている建築物がいくつもあり、文化財を目当てに参拝する方も多い場所なのです。
2. 近江神宮の御祭神とご利益

近江神宮の御祭神は奈良時代の第38代「天智天皇(てんぢてんのう)」です。元の名を天命開別皇命(あめみことひらかすわけのすめらみこと)、一般的には「中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)」のほうが親しまれているかもしれません。歴史的にも有名な「大化の改新」で、中大兄皇子(天智天皇)は中臣鎌足(なかとみのかまたり)と手を組み、当時最大規模の豪族で、好き勝手に国を支配していた蘇我(そが)氏を滅ぼします。豪族中心の政治から天皇中心の政治へと改革を起こしたのです。
そこから約23年後の667年、都を奈良の飛鳥から近江国の大津に遷都。その翌年668年、ついに大津京にて天智天皇が即位しました。日本で最初に戸籍制度、学校制度、税金制度などを作り、今では当たり前となっているような日本の基盤を1200年も前に作った人物、それが近江神宮の御祭神、「天智天皇」なのです。
その天智天皇の数々の功績から、近江神宮には産業繁栄、厄除け、安産祈願、学業成就、家内安全、病気平癒、交通安全といった様々なご利益があると言われています。