RC 390はRC 125と基本的に同じ車体に373ccのハイパワーエンジンを搭載したスポーツモデル。 じゃじゃ馬と想像出来るそのキャラクターであるが、実はシリーズ中最もバランスが良いとさえ思わせる好パッケージングのマシン。そんなRC 390がフルモデルチェンジ。ポテンシャルアップされたマシンとともに、全国13店舗のWP正規ディーラーのみで取り付け可能なWP APEX PROサスペンションを装着した足回りのグレードアップ仕様もテストした。
目次
フルモデルチェンジしたRC 390 ノーマルモデルの足回りが大幅進化!
WP APEX PROサスを装備したWP PROバージョン
・足回りの違いを比較
・リヤサスの調整も簡単に変更できる!
フルモデルチェンジしたRC 390 ノーマルモデルの足回りが大幅進化!
新型となったRC 390は従来モデルと比べ、よりシャープさを増したスタイリングを身につけたと 同時に、非常に軽量に仕上がっている。
新設計のフレームは1.5kg、ブレーキやホイールといった足回りでは4.36kgもの軽量化を実現。元々の車重も決して重くはない中、この減量比率はとても大きなものである。そして走り出したマシンは数値以上に軽さが際立っている印象だ。 しかし、軽量マシンにありがちな神経質さはない程良さでもある。
エンジンは基本的には従来型を踏襲しつつ、エアボックス容量増大やマッピング等の変更でよりトルクフルに熟成されている。2次曲線的にパワフルになっていくレーシングイメージのものではなく、実にフラットに吹け上がっていくのも良い。高回転重視のマシンが多かったKTMのマシンの なかでも、RC 390は実用回転域でも十分速く、それでいて軽く高回転域まで回っていくフレキシブルさによって楽しさを満喫しやすい特性となっている。パワフル過ぎて身構えるほどではないが、バ イクらしいスリリングさはしっかり持ち合わせている。
そして、このエンジンを存分に堪能出来るのが車体および足回りの充実具合によるものだ。 バネバネしい動きを感じることもあった従来モデルに対し、しなやかさを感じさせるサスペンションを得ている。とくにフロントフォークはコンプレッション、リバウンド側ともに30段階の調整機構を 備えるだけでなく、動きの質感が確実に向上している。 KTM傘下となっているWPだけに、このマシンを知り尽くしていると思わせる設定により、マシンの完成度がより高まっているのだ。
WP APEX PROサスを装備したWP PROバージョン
そして、この前後サスペンションをよりグレードアップしたWP APEX PROを装着したマシンもテスト。 正直、STDの完成度が高いため、「その必要性はないのでは?」とテスト前は感じたほど。グレードアップされるサスペンションというのは、通常ハードよりに設定されることが多く、サーキット走行 やレースシーンといった限られたシチュエーション以外では必要ないと感じることも少なくない。
しかしこのWP PROバージョン。カッチリ感は高められているものの、ハードといった印象はない。いや、むしろ落ち着きが増しており、いい意味で重さ=手応えが感じられるようになっている。動き自体が明らかにしなやかで、接地感が増大しているのがわかる。
フロントフォークはもちろんだが、より効果が感じられたのはリヤショックである。荒れた路面であってもリヤ周りがバタつくこともなく、路面追従性が高まっている。 グレードアップされたサスペンションは、内部の各パーツやシール類の精度が高められよりフリクションの少ない動きの良さを備える。
また、細かいアジャストに耐える調整機能を装備する場合が多い。例えばWP APEX PROの場合、フロントフォークはスプリングのプリロード調整に加え、圧側&伸び側 ダンパーが各40段階。リヤショックはプリロード、伸び側ダンパー調整のほか、圧側ダンパーは高速と低速がそれぞれ独立。走り方やシチュエーションに合わせ、 いかようにも合わせていける幅広いセッティングが可能となる。身体を預けてコーナーに進入、旋回、そして立ち上がるという一連の操作に絶えず安心感が備わっている感覚。ポテンシャルアップされた新型RC 390をさらなるコーナーリングマシンに仕立て上げるスペシャルな足回りである。
回、そして立ち上がるという一連の操作に絶えず安心感が備わっている感覚。ポテンシャルアッ プされた新型RC 390をさらなるコーナーリングマシンに仕立て上げるスペシャルな足回りである。
足回りの違いを比較
見た目が大きく変わらないことから二の次にされがちなサスペンションのカスタムであるが、じつは走行すれば最も実感できるパーツのひとつ。しかし高性能なパーツを使っていても、その車両に合わせたセットアップがなされなければ宝の持ち腐れにもなってしまいかねない。その点、 WP APEX PROサスペンションはKTMを知り尽くしたWP製で、コスト等で実現出来なかった精度の高い各パーツの採用による動きの良さとともに、幅広いセッティング機能を装備する。もちろんボルトオン装着可能だ。
リヤサスの調整も簡単に変更できる!
STDは伸び側ダンパーのみ装備されるが(5段階)、WP APEX PROはリザーバータンク横のダイヤルで圧側ダンパーの調整機構も備える。内側が低速で外側が高速となる。
ショック下側には伸び側(リバウンド)アジャスターを装備。ステッププレートを外し、フェンダー部の丸カバーを外すことで工具が届き、調整が可能。