こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。突然ですが、あなたは丹波篠山(たんばささやま)ってご存知ですか?
まず頭に浮かぶのは黒豆でしょうか?
私が"丹波篠山"と言われてイメージするのは落語家の桂文珍さんです。子どもの頃「ヤングおーおー!」という関西系のテレビ番組がありました。その番組では当時の若手落語家4名(月亭八方、桂きん枝、林家小染、桂文珍)が"ザ・パンダ"というグループを作って賑やかにやっていました。その中で桂文珍さんは他のメンバーから「丹波篠山の山奥から下りてきた田舎モン!」といじられていました。私はそれを聞いて「丹波篠山ってきっとすごい田舎なんだろうなぁ」と思いました。私も広島の田舎モンだったので親近感を持ったことを覚えています(笑)
あれから数十年、今回私は生まれて初めて、丹波篠山という場所に降り立ちました。
結論から言いますと、丹波篠山は想像していた以上にとっても素敵で魅力に溢れた町でした。それをご紹介します。
目次
丹波篠山という土地
酒井市長インタビュー
丹波篠山の観光の見どころ
丹波篠山の冬グルメといえば・・・ぼたん鍋
篠山城下町ホテル NIPPONIA
丹波篠山という街に滞在して感じたこと
丹波篠山という土地
現在この街は兵庫県篠山市といいます。以前は多紀郡篠山町という地名だったそうです。昔より丹波篠山の名で親しまれていましたが、「丹波国の篠山」という位置づけだったようです。それが1999年4月1日に篠山市となりました。
そんな土地ですが、昨今、篠山市を丹波篠山市に変えようという動きがあり、今回日本で初めて市名を変えるか否かについて住民投票が行われました。結果は市名変更賛成派が反対派を上回りました。同時に行われた市長選挙で市名変更賛成派の酒井隆明氏が当選し、2019年5月1日に「丹波篠山市」に変えることを表明されました。
今回の取材の目的はこの市名変更に関するお話を伺うことと、改めて丹波篠山という"町の魅力"を探るというものでした。※2019年1月現在は篠山市ですが、この記事では基本的に丹波篠山(市)で表記したいと思います。
まず市役所を訪ね、酒井市長にお話を伺いました。
酒井市長インタビュー

Q1:市名を篠山市から丹波篠山市に変えたいと思われた理由は何でしょうか?
ひとことで言うと、私たちの街のブランドを未来に渡って繋いでいきたい、という思いからです。
丹波篠山の農産物は黒豆、栗、お茶、お米などがありますが、それらのほとんどはここ篠山市で作られたものです。ただ全国的には丹波篠山というイメージが強く、近隣に新しく丹波市(旧氷上郡)が誕生したこともあり、全国的にはわかりにくく混乱をきたしているという点や、篠山という漢字も単独では読みにくいということもあり、以前よりなじみのある「丹波篠山」を市名にしたいと思いました。
Q2:丹波篠山の魅力をひとことでいうと何でしょうか?
魅力はたくさんありますので、ひとことでとなると難しいですが・・・、丹波篠山は都市開発の波に飲み込まれることなく、往時のまま受け継いできた趣のある街並み、美しい風景、そして人にどっぷり浸れるところでしょうか。
Q3:酒井市長が個人的に薦めたい丹波篠山ベスト3を教えてください
まずひとつめは「城下町の佇まい」です。武家屋敷、商家、農村集落などが良い状態で保存され、美しく独特の雰囲気を醸し出しています。
観光地に訪れて、歴史的建造物の隣に高層ビルが建っているのが目に入って残念な思いをなさったことはないでしょうか?この街の中心にある篠山城跡に上り、ぐるっと360度見渡してみてください。高いビルがひとつもないんですよ。今の日本にこれほど当時のまま残された町は珍しいのではないでしょうか。
街の姿が残ったこの理由としては、駅(JR篠山口駅)と町の中心が離れていたことが功を奏した面もあると思います。またJR篠山口駅までの複線電化が遅れて、結果的に他の都市に見られるような開発の波が届かなかったことも、昔の情緒が残された理由のひとつだと思います。
そしてなにより大きいのは農業の盛んなこの土地で農地を守ろうとする地元住民の方々の熱い思いがあったことです。それらの結果、丹波篠山は日本でもまれにみる美しい景観が残る土地になったのです。
ちなみに私たちの街は下記に選定(認定)されています。
・重要伝統的建造物群保存地区選定(2004年)
・都市景観大賞(都市空間部門)受賞(2014年)
・美しい日本の歴史的風土100選(2007年)
・日本100名城認定(篠山城)(2006年)
・ユネスコ創造都市ネットワーク加盟都市
・日本遺産のまち
私たちは美しい景観を守るという意識を強く持っています。保存地区以外に於いても近代的な建物や派手な色使いの看板で街の景観に支障をきたすことのないよう意識しています。篠山市役所では「景観室」という部署を新たに設けてこの美しい街並み、風景を後世につないでいけるよう心掛けているのです。
おすすめのふたつめは、今田(こんだ)町の立杭(たちくい)です。今田町は丹波焼のふるさとですが、この辺りの山の紅葉が素晴らしいんです。丹波篠山は盆地ですので四方を山に囲まれています。しかし街の中心辺りの山は杉や檜など人工的に植林した針葉樹ですので紅葉はほぼ見られません。今田の立杭は自然の広葉樹ですので、特に新緑と紅葉の季節は素晴らしい。ぜひ皆さんにもご覧いただきたいですね。
そしておススメの3つめはお米です。丹波篠山は黒豆が全国的に有名ですが、私としてはこの土地のお米が好きです。甘くて瑞々しい。お米自体が美味しいので食べ方としては白米が一番ですが、当地特産の山の芋(普通の長芋の4倍も粘りが強いんです)を掛けて食べるのも好きです。これはぜひ食べていただきたい。私が保証します。
Q4:丹波篠山には美味しい食べ物がたくさんありますが、その中で市長が個人的にお薦めの食べ物は何ですか?
ひとつだけに絞るのはこれまた難しいですが、1番と言われたら「黒枝豆」でしょう。黒豆は昔より作られていますが、「黒枝豆」が盛んに作られるようになったのは比較的最近のことです。以前は田んぼの畔など隙間で作られていたのですが、政府の減反政策の時、転畑して、黒枝豆を作るようになりました。よく居酒屋の突き出し等で供される枝豆とは似て非なる食べ物です。大きくて柔らかく、そして甘い。人気グルメ漫画で取り上げられて人気に火がつきました。黒枝豆が旬を迎える毎年10月に開かれる「味祭り」では、高速の丹南篠山口インターチェンジ出口から渋滞となるほど多くの方がお越しになります。
丹波篠山ご出身の酒井市長の子供の頃の思い出を聞かせてください
子どもの頃は毎日川で魚を採っていましたね。川でなければ山で虫採りとか(カブトムシ、クワガタ等)今の川はコンクリートで護岸され、危ないからと子供を川に寄せつけないように仕向けていますが、とても残念です。私としては川は子どもの遊び場としてあの頃の美しい環境を取り戻したいと思っています。
Q5:最後に2019年、市が一番力を入れようとしているポイントをお聞かせください
丹波篠山市を日本全国に大きくアピールしていきたいと思います。丹波篠山の魅力(街並み/文化/食べ物)により磨きをかけ、たくさんの方々に丹波篠山に来ていただけるようにしたいと思っています。
<インタビューを終えて>
酒井市長はとても気さくな方で、答えにくい質問にも真剣に考えてくださり、丁寧にお応えいただきました。インタビューは当初30分間の予定でしたがお忙しいにも関わらず1時間を超えてたくさんのお話を聞かせていただきました。酒井市長の丹波篠山に対する熱い気持ちをしっかりと受けとめました。

酒井市長、ありがとうございました。
では、いよいよ丹波篠山の街に繰り出してみましょう!