2枚のドアが左右両側に「ぱかっ」と開く形式を、観音開きと呼びます。国産では初代クラウンが初めて採用した古くからある形式ですが、最近では少なくなっています。とはいえ、独特の開き方がクルマの個性を引き立てることも事実。今回は、そんな観音開きドアの国産車を紹介しましょう。
文・立花義人
観音開きドアのメリット、デメリット
バックドア(荷室用のドア)が観音開きの場合、片側ドアだけ開けることができるスペースさえあれば、荷物を取り出すことができますから、上方開きに比較して、車両後方のスペースは狭くて済みます。
また、乗員用ドアに観音開きが採用されているクルマでは、開口部を広く取ることができるため、乗員の乗り降りがしやすいといったメリットがあります。
ただし、風の影響を受けやすかったり、ドアが閉めにくいという安全上の問題もあり、採用されるクルマは、一時期よりも減ってきています。そんな観音開きドアが採用された国産車をいくつか紹介します。
トヨタ オリジン
トヨタの国内生産が累計1億台に達したことを記念し、2000年11月におよそ1,000台限定で発売されたモデルです。外観デザインのモチーフは、1955年に登場した初代クラウン。観音開きのドアは、初代クラウンの特徴でもありました。
オリジンは、”小さな高級車”というキャッチコピーを持っていたプログレをベースに、トヨタの最高級車「センチュリー」の生産ラインを受け持つ熟練したエンジニアによって、入念な組み付けを行うといった手法で生産されていました。