持久力を高めるトレーニング10選
持久力を高めるトレーニング1ーLSD
LSDの目的と効果
LSDとは "Long Slow Distance"の頭文字から取った名称です。その名の通り、長く、ゆっくり、距離を走るトレーニングのことを指します。長距離走などの持久力系スポーツでは有名なトレーニング方法ですし、有酸素運動であればその種類は問いません。泳いでも、自転車でも有効です。持久力系のスポーツ選手にとっては基礎的な心肺持久力を高める効果がある上、脂肪を燃焼するダイエット効果も高く、初心者でも簡単に体力アップに取り入れることができるメリットがあります。
LSDのメニュー作成方法と目安
LSDのメニューを作成するうえで大切なことは運動を量(距離、回数)ではなく、時間で意識することです。目安としては、最低でも2時間以上の有酸素運動を継続して行うようにしてください。当然ですが、それだけの時間をきつい運動を続けることはできませんので、走ったり泳いだりするペースはとてもゆっくりしたものになります。指標となるのは心拍数です。最大心拍数の50~60%ぐらいを維持するように意識します。運動の負荷を高めることより、時間を長くすることを心がけてください。
持久力を高めるトレーニング2ー中距離走インターバル
中距離インターバル走の目的と効果
中距離インターバル走とは速く走るセットとゆっくり走るセットを交互に繰り返し行うトレーニングトレーニング方法です。心肺持久力とスピードの強化に大きな効果があり、陸上競技スポーツでは古くから用いられてきました。その元祖と呼ばれているのは1940~50年代に活躍した伝説の長距離走選手、故エミール・ザトペック氏です。LSDに比べると短時間で高い効果が望めるメリットがありますが、その反面たいへんにきついトレーニングですので、初心者向きではありません。
中距離インターバル走のメニュー作成方法と目安
中距離インターバル走を行うには、速いスピードで走ることができ、信号などで立ち止まることもなく、そして距離を測りやすいトレーニング場所を見つけることが最初の課題になります。陸上トラックを利用できれば、それがベストです。速く走る距離とゆっくり走る距離の配分は2対1(例:
800m / 400m)から5対1(例:1,000m / 200m)ぐらいに、合計した走行距離は3,000m ~ 5,000mぐらいを目安にするとよいでしょう。
持久力を高めるトレーニング3ーHIIT
HIITの目的と効果
HIITは "High Intensity Interval Training"の頭文字から取った名称です。強度のきつい運動を何セットか休息を挟みながら行うトレーニング方法です。有酸素エネルギーと無酸素エネルギーを同時に高める効果があり、脂肪燃焼効果も高いため、近年ではフィットネス業界で大きな人気と注目を集めています。HIITでは運動の種類や時間形式の組み合わせが無限にあり、精神的な飽きがこないこともメリットの1つです。
HIITのメニュー作成方法と目安
HIITでもっとも有名な方法は「タバタ・トレーニング」と呼ばれるものです。20秒のきつい運動と10秒の休息を1セットとし、それを8セット繰り返す。つまり合計所要時間はわずか4分間のトレーニングです。ここで大切なことは「きつい運動」を選ぶ際に、止まることなく動き続けることができる種目を選ぶことです。固定自転車は最適です。この場合、簡単な動きこそが有効です。量より質を重視することで、初心者でも確実に体力をアップさせることができます。
タバタ以外のHIITメニュー
HIITのメニューを作成するときは、時間を軸にするか、あるいは回数(ラウンド数)を軸にするか、大きく分けて2つの方法があります。上のタバタ・トレーニングは時間軸の一例です。この場合は定められた制限時間内に、なるべく多くの回数(ラウンド数)を行います。回数軸の場合は、定められた回数(ラウンド数)を、なるべく速く行います。HIITを競技として行う場合は、時間軸ワークアウトは回数(ラウンド数)がスコアに、回数軸ワークアウトでは時間がスコアになります。
持久力を高めるトレーニング4ー低重量高回数筋トレ
低重量高回数で行う筋トレの目的と効果
筋肥大や瞬発力を高める目的で行う筋トレは高重量低回数、筋持久力を高める目的で行う筋トレは低重量高回数が原則です。そのどちらを選ぶかは、目的とするスポーツの種類によって異なってきます。例えば、野球や重量挙げのようなパワーとスピードを重視するスポーツでは前者、サッカーや長距離走などのスタミナを重視するスポーツでは後者が有効です。初心者にとっては、低重量高回数の筋トレは、フォームを習得しやすい、故障の危険が少ない、などのメリットもあります。
低重量高回数で行う筋トレのメニュー作成方法と目安
バーベルやダンベルなどの重量負荷を用いる場合、1セットの挙上回数を12~20回、それを3~7セット程度が目安です。もちろん、腕立て伏せやスクワットなどの自重エクササイズも有効な筋トレです。どこでもできる、器具が要らないというメリットもあります。その場合は回数が多ければ多いほど良いわけですが、大切なことはフォームを崩さないことです。質より量を重視するトレーニングであっても、1回ごとの動作をいいかげんにしてしまっては、トータルの効果も減ってしまいます。
持久力を高めるトレーニング5ーサーキット
サーキット・トレーニングの目的と効果
サーキット・トレーニングとは複数のトレーニング種目を順番に、あるいは交代に行うトレーニング方法です。複数の異なった筋肉群を鍛えることができ、全身持久力を高める上でも有効です。ラグビーや格闘技など、激しい運動をある程度の長さの時間続ける種類のスポーツ選手が体力アップするのに向いています。初心者でも、負荷を軽くした運動を組み合わせて、簡単にできる範囲でサーキット・トレーニングを行うと、有酸素運動の代わりにもなることもメリットの1つです。
サーキット・トレーニングのメニュー作成方法と目安
ジムで複数の種類の器具を使用してサーキット・トレーニングをする場合は、待ち時間が発生しないトレーニング環境であることが前提になります。そのようなトレーニング環境に恵まれていない場合は、自重エクササイズでも簡単にサーキット・トレーニングを行うことができます。例えば、腕立て伏せ10回、スクワットを20回、シットアップを30回、という風に、違う個所の筋肉群を使う種類の運動を組み合わせます。トータルでの時間は20~30分程度が目安になります。
持久力を高めるトレーニング6ー階段走り
階段走りの目的と効果
階段を走ることはシンプルですが、持久力を高めるうえで非常に有効な有酸素運動です。筋肉に強い負荷がかかるため、下半身の筋持久力が高まります。平地を走るよりはるかに多くの負荷が心臓や肺にかかりますので、心肺持久力が高まり、全身持久力も向上します。脂肪燃焼効果も高いのでダイエットにも向いています。さらに言えば、アクセスの容易さ、簡単さも他のトレーニング方法と比べて際立っているメリットです。駅でも公園でも神社でも、階段は至るとことにありますので、いつでも思い立ったときにトレーニングができます。
階段走りのメニュー作成方法と目安
階段走りはスポーツ選手にも効果がある有酸素運動ですが、むしろ生活の中で体力をアップさせる方法です。そのメニュー作りも難しく考える必要はありません。100~200段くらいの階段が身近にあれば、まずはそれを1往復するところから始めてみてください。体が慣れてくるに従い、往復するセット数を増やしていきます。合計での所要時間は20~30分くらいを上限の目安にするとよいでしょう。それ以上は量を増やすより、スピードを速めた方が有効です。
持久力を高めるトレーニング7ーアイソメトリック
アイソメトリック・トレーニングの目的と効果
アイソメトリック・トレーニングとは静止した状態を保持して、筋肉を収縮させることなく負荷をかける方法です。プランクがその代表的な例です。筋持久力を高めることに大きな効果があります。その反面、心肺持久力への効果はほぼゼロに等しくなります。関節を動かしませんので、故障の心配がほとんどないこと、器具が不要であるというメリットがあります。初心者でも簡単に取り組むことができるうえ、中・上級者にとっても有効なトレーニング方法です。
アイソメトリック・トレーニングのメニュー作成方法と目安
アイソメトリック・トレーニングのメニューは静止する姿勢(ポーズ)によって、静止する時間の長さを調整していきます。当然、静止時間が長ければ長いほど負荷が高まるわけですが、やみくもに長くすると弊害も生じます。その最大のものは、姿勢が崩れがちになるということです。プランクを例にしますと、30秒ぐらいを1セットとして、3~5セットぐらいが目安です。これが簡単すぎると感じるなら、片足を上げるなどして、静止時間の長さではなく姿勢の難易度で負荷を高めるとよいでしょう。
持久力を高めるトレーニング8-山歩き
山歩き(ハイキング)の目的と効果
山歩き(ハイキング)はレジャーであると同時に、非常に有効な有酸素運動でもあります。もちろん距離や険しさによって、きつさは千差万別になるわけですが、走ることと比べて、足腰への衝撃がはるかに少ないので、故障のリスクが低いことが最大のメリットです。長時間の有酸素運動を行うことにもなりますので、体力がつくだけではなく、ダイエット効果も非常に高く、ランニングの初心者が体重を落とす上でも有効です。そのうえ、基礎的な筋持久力もつきますので、全身持久力のアップに最適の方法です。
持久力を高めるトレーニング9ー高地低酸素
高地トレーニングの目的と効果
高地トレーニングは陸上競技や水泳などの持久力系スポーツ選手に人気が高い方法です。標高が2,000~3,000メートルぐらいの高地に最低でも2~3週間以上滞在して有酸素トレーニングを積むことが、効果を生み出すための目安とされています。高地では平地より空気中の酸素が薄いので、体内では 血中の酸素濃度が低下します。すると 体は環境に適応して、赤血球数やヘモグロビン濃度が増加します。その結果として心肺持久力が飛躍的に向上すると言われています。
高地トレーニングを平地で行う施設や器具
高地トレーニングに効果があることは分かっていても、トレーニングを目的として高地に数週間以上滞在してトレーニングができる一般人はなかなかいません。しかし、最近では低酸素テント室の設備があるスポーツジムが増えました。そのような施設では仮想の高地トレーニングを行うことができます。また、低酸素マスクという製品も一般的に入手できるようにもなりました。遠出をすることなしに低酸素でトレーニングが可能なのは大きなメリットです。こうした施設や器具を利用することも検討の余地はあるでしょう。
持久力を高めるトレーニング10ーSleep Low
Sleep Lowの目的と効果
Sleep Lowとは体内の糖質量を低く抑えた状態で就寝し、翌朝はそのままの状態で有酸素運動を行う方法を指します。そうすることで、体は糖質ではなく脂肪をエネルギー源として優先して活用するように体質が変化することをファット・アダプテーションと呼びます。脂肪は糖質よりはるかに多く体内に貯蔵できるため、長時間の運動を行ううえで有効なエネルギー源になります。現在では持久力系スポーツ選手の間で主流になりつつある方法です。
Sleep Lowのメニュー作成方法と目安
Sleep Lowは生活サイクルそのものを変えることがトレーニングです。従って、けっして簡単な方法ではありません。まず朝食を食べる前に持久力系の有酸素運動を行います。その種類は問いません。その後の朝食と昼食ではある程度の糖質は摂取しますが、その量は制限します。午後には糖質を必要とするスピード系、あるいはパワー系のトレーニングを行います。そして夕食では糖質を一切摂取しません。このサイクルを最低でも12週間以上継続することが効果を生み出す目安になります。
持久力の測り方
持久力に限った話ではありませんが、ある目的のためにトレーニングを行う場合は、一定期間ごとにテストを行って、できるならば客観的な数値で成長度や効果を測定する必要があります。テストと言っても、それほど難しく考える必要はありません。例えば、以前は自重スクワットを50回しか連続して出来なかった人が、1か月間のトレーニングを経て、100回連続でできるようになったとしたら、それは全身持久力が大幅にアップしたことを意味します。
筋持久力の指標となる15RM
筋トレを本格的に行っている人、とくに筋肥大や瞬間的なパワー向上を目指している人なら、最大挙上重量(1RM)を把握していると思います。筋持久力の向上を目的とする場合は1RMの60~70%ぐらいの重量で12~15回ぐらいをセットにプログラムを組みます。それを逆の視点から見るならば、「15回を正しいフォームで挙げられる重さ」(15RM)が筋持久力を測る一つの目安となります。この方法だと筋トレ初心者でも比較的簡単に取り組むことができるメリットがあります。
心肺能力の指標となる最大酸素摂取量(VO2Max)
VO2maxは体重1kgあたり1分間に取り込むことのできる最大酸素量のことを指します。人間の体は酸素を使って体内に貯えられたエネルギーを分解し、そのエネルギーによって筋肉を動かします。その最大酸素量の値が高いほど、より優れた持久力に直結するというわけです。VO2maxを正確に測定するには設備の整った施設に行かないといけないのですが、最近ではVO2maxの推定値を出してくれるランニング・ウォッチもありますので、そちらを参考にするとよいでしょう。