自身の経験から、気軽に通える歯医者の必要性を痛感

——クリニックの内観も歯医者さんらしくない雰囲気です。なぜ、このようなサービスを提供しようと思ったのでしょうか?

西野:歯医者に行きづらかったという私自身の体験が元になっています。予約したのに待たされたり、現金しか使えなかったりという不便さや、何となく入りづらいという印象に加えて忙しさもあり、長くメンテナンスを放置していました。

その結果、痛い思いをしたうえに、治療のコストも高くついてしまったことから、「気軽に通える」「忙しくても通える」の2つをクリアしてくれるクリニックが必要だと感じました。

——元々、医療テック関係のお仕事をされていたのでしょうか?

西野:じつは、医療とはまったく関係ない分野のエンジニアをしていたんです。学生時代はインターンとして物流の業務システム開発に携わっていて、その後、新卒で入った会社では大企業向けの基幹システムを効率化するためのシステムを開発していました。

両方に共通するのが「レガシーな業界をテクノロジーを通じてアップデートする」ことだったのですが、それらの仕事を通して気づいたのが、さまざまな体験がテクノロジーでアップデートされているにもかかわらず、歯科体験だけは私が子どもの頃から変化がないということです。この分野はまだテクノロジーが入り切れていないと感じ、Oh my teethを設立しました。


——医療ではない分野からの参入ということで、大変だったことも多かったのではないでしょうか?

西野:大変なことしかなかったですね(笑)。まず、仲間になっていただける歯科医師を探すのが最初のハードルでした。

Oh my teethの創業メンバーと2人で話をしにいったのですが、若いエンジニアが突然そんな話をしても相手にされなかったり、むしろ怒られしまったりということも多く、100人以上にお声がけをしては断られる日々でした。

一方で、業界の外からアプローチするからこそ変えられるという自信は当時から持っていました。

矯正はLINEで相談できることが「安心」との声

——ちなみに歯科矯正はどのような人が受けているのでしょうか?

西野:下は中学生、上は77歳と幅広い年齢層の方にご利用いただいています。平均は32歳で、6.7割が男性です。ビジネスパーソンが身だしなみや自己投資の一環として始めるケースが多い印象です。

——矯正治療中の相談はLINEでできるということですが、いつでも連絡できるのでしょうか?

西野:はい。困ったことがあれば24時間相談が可能で、そこが一番好評をいただいている点です。

始める前は「オンラインだと不安」という声もあるのですが、実際にスタートすると、予約をして通院をしてという従来のプロセスより密にコミュニケーションが取れるので逆に安心だと言っていただけることが多いです。