「人生100年時代」が到来すると言われる中、老後の生活資金を心配している人は少なくない。会社員なら、退職金がいくらもらえるのか気になる人も多いだろう。サラリーマンの平均的な退職金は、いくらくらいなのだろうか。

企業規模別平均退職金額

定年で退職する場合の企業規模別の退職金の平均額や、学歴別の平均額、勤続年数別の平均額、業種別の退職金ランキングなどを紹介しよう。

まずは、企業規模別の平均額から。参考にしたのは、厚生労働省が毎年実施している「就労条件総合調査」だ。この調査では、5年ごとに「退職給付(一時金・年金)の支給実態」も調べている。ここでは、2018年の支給実態の調査結果のデータを紹介する。

企業規模 平均退職金額
1,000人以上 1,144万〜2,233万円
300〜999人 1,173万〜1,825万円
100人〜299人 722万〜1,605万円
30〜99人 567万〜1,407万円
※出典:「平成30年就労条件総合調査」

上記の表から、企業規模が大きいほうが支給金額も大きいことがわかる。平均額に幅があるのは、平均勤続年数や学歴などによって退職金の平均額に差があるからだ。

退職金の支給額は減少傾向

老後2,000万円問題が話題になって久しいが、そうした折退職金が1,000万円も減少しているという話がある。どういったことだろうか。

いわゆる退職金には退職時に一括してもらえる「退職一時金」と年金形式でもらえる「企業年金」がある。

退職金が減っている理由のひとつに「企業の退職給付制度の変化」が挙げられる。マイナス金利政策の長期化により運用自体がうまくいかないこと、転職をする人が増え、ひとつの企業に長くとどまる人が減っていることなど要因はさまざまだ。そもそも退職金自体無いという企業も少なくない。

転職すると退職金が減少する理由

退職金の計算方法は、定額制・基本給連動型・別テーブル型・ポイント制などがある。いずれも計算方法には、勤続年数が関係している。

勤続年数が長いほど金額が高くなるため、途中で転職をすると退職金が減少する仕組みだ。

退職金の額は退職理由でも変化し、会社都合よりも自己都合の方が低く設定されている。自分の希望で転職する場合は、退職金の金額が減少してしまう。

厚生労働省が発表した「平成30年就労条件総合調査」の結果によると、退職一時金の受給に必要な最低勤続年数は、3年以上・4年未満が最も多い。従って、勤続年数が3年未満だと退職金自体が出ない企業が多いといえる。

退職金も含め老後資金のシミュレーションを

退職金が少ない、または無い場合でも、今のうちから備えていれば老後は怖くない。健康であれば働き続ける選択肢もある。いずれにしても、将来の資金計画は早めにしておくことが重要だ。事前にシミュレーションをして、自分の状況にあった対策を心がけよう。

文・MONEY TIMES編集部