目次
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置とは
非課税措置を受ける条件
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置とは
マイホームの購入や増築といった用途で、父母や祖父母などから資金援助を受けた際は「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」という特例により、贈与税が一定額までは非課税となります。
直系親族から資金援助を受けた場合の特例
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税(以下、非課税の特例)」は、直系尊属(直通する系統の親族のうち、自分よりも前の世代、すなわち以下のような直接の祖先に当たる人々)より、以下のような住宅資金の援助を受けた際、限度額の範囲内で贈与税が非課税となる特例です。
- 住宅用の家屋の新築または取得
- 住宅用の家屋の増改築
本来は2021年12月31日までの特例でしたが、2022年度の税制改正で延長が決定しました。現行では「2022年1月1日~2023年12月31日」に贈与を受けたものが対象です。
前回との重複の適用は認められておらず、2009~2021年分の贈与税の申告で住宅取得等資金の非課税の適用を受けた人は、原則的に対象外となります(一部の例外を除く)。
参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁
限度額は1,000万円または500万円
非課税限度額は、贈与を受けた人が取得する住宅の種類によって異なります。現在のところ、省エネ等住宅が1,000万円、省エネ等住宅以外が500万円です。
「省エネ等住宅」とは、省エネルギーや耐震などの性能に優れた住宅を指し、以下の省エネ等基準を満たすことが条件となります。
- 断熱等性能等級4以上、もしくは一次エネルギー消費量等級4以上
- 耐震等級2以上、もしくは免震建築物
- 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上
非課税枠は相続時に加算されない
暦年課税で贈与を受けた日から3年以内に贈与者が亡くなった場合は、贈与税が発生していたかどうかに関係なく、相続税の計算時に加算されるのが原則です(すでに納めた贈与税額は相続税から控除)。
このルールは「生前贈与加算」といい、生前の贈与はなかったものとみなされます。基礎控除額110万円以下の贈与財産や死亡した年に贈与されている財産も加算の対象です。
ただし、直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち「非課税の適用を受けた金額」については加算の対象にはなりません。
非課税措置を受ける条件
非課税の特例を受けるには、「贈与者」「受贈者」「住宅用の家屋」がそれぞれの要件を満たす必要があります。具体的にどのような要件があるのか確認しましょう。
贈与者が直系尊属
非課税措置を受ける大前提として、贈与者が受贈者の「直系尊属」という点が必要です。直系尊属は以下のような人々を指します。
- 父母
- 祖父母
- 曽祖父母
- 高祖父母
養子縁組をしている場合を除き、配偶者の父母や祖父母は直系尊属に該当しない点に注意しましょう。例えば、夫が妻の父母から受けた資金援助は非課税措置の対象外です。
また、贈与者に年齢の制限はありませんが、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上でなければなりません。
登記簿上の床面積が40m2以上240m2以下
新築・取得・増改築のいずれの場合においても、対象となる住宅用の家屋は以下の要件を満たす必要があります。
- 家屋の登記簿上の床面積(区分所有建物は専有部分の床面積)は40m2以上240m2以下であること
- 家屋の床面積の1/2以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されること
住宅用の家屋の取得の場合には、「建築後使用されたことのない住宅用の家屋であること」「建築後使用されたことのある住宅用の家屋は、1982(昭和57)年1月1日以後に建築されていること」などといった要件があります。
増改築の場合は、「増改築等の工事に要した費用額が100万円以上であること」「費用額の1/2以上が、自己の居住の用に供される部分の工事費用であること」が要件です。
贈与を受けた年の所得が2,000万円以下
受贈者には「所得制限」があり、贈与を受けた年の合計所得額が2,000万円以下でなければいけません。「合計所得額」とは、以下に挙げる所得金額等に退職所得金額と山林所得金額を加算したものを指します。
- 事業所得
- 不動産所得
- 給与所得
- 総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得および雑所得の合計額(損益通算後の金額)
- 総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の1/2の金額
事業所得や不動産所得などの複数の収入源がある人は、所得制限を超えてしまう可能性があるでしょう。
参考:専門用語集|国税庁