珍しい神棚の間
同邸の竣工は昭和13年(1938年)。建築主は、鳥取県出身で鉄山を経営していた近藤壽一郎氏でした。この屋敷の二階に設けられた六畳の神棚の間も、近藤氏が作らせたものです。個人宅に使われることは珍しい「格天井(ごうてんじょう)」を採用しており、神社のように清涼な空気を感じる部屋となっています。展示されている竣工当時の写真にも「家移りや 立春の日に 先づ神を」とあったのが印象的でした。

(画像=<格天井の神棚の間 ©Kanmuri Yuki>,『たびこふれ』より 引用)
「旧山本家住宅」の山本とは、この住宅の五代目の所有者である山本清氏に由来します。兵庫県津名郡(現 淡路市)出身の同氏は、第一飲料株式会社や丸の内食品株式会社を設立・経営した実業家。昭和41年から同住宅の所有者となりましたが、建築当初の作りや風情を愛し、そのままに長く維持しました。現在、同住宅の見学が可能なのも同氏の遺志によるものです。
旧山本家住宅
- 住所:兵庫県西宮市結善町1-24
- 電話番号:0798-73-6677
- 開館時間:10:00~15:45(入館は15:00まで)※見学には前日までの電話予約が必要
- 入館料:大人200円、小・中学生100円
- 休館日:日・月曜・祝日(お盆、年末年始)
土塁見学もできる旧羽室家住宅

(画像=<母屋の座敷 協力:豊中市教育委員会 撮影:冠ゆき>,『たびこふれ』より 引用)
「原田城跡・旧羽室家住宅」は、「昭和12年(1937年)、当時住友化学工業株式会社の役員の一人であった羽室廣一氏が、個人の住まいとして建てた木造二階建ての住宅です」。(豊中市教育委員会作成パンフレットより)
何よりユニークなのは、約2,950平方メートルの敷地が、中世の武将原田氏の居城の一部と重なっていること。そのため庭園には土塁も残っており、そちらも見学可能です。

(画像=<土塁の残る庭(写真左奥)協力:豊中市教育委員会 撮影:冠ゆき>,『たびこふれ』より 引用)
邸宅は、玄関から入ってホールに続く応接室やサンルーム、またそのあたりの外観は洋風の作りですが、庭に面して連なる和室や離れは純和風の作り。玄関北側には伝統的な作りの土蔵も残っています。アールデコ調の暖炉や、階段室の網代天井など、簡素なようでこだわりも感じられます。

(画像=<マントルピースのある応接室 協力:豊中市教育委員会 撮影:冠ゆき>,『たびこふれ』より 引用)