バイクにスマートフォンをつけてナビ代わりにするのが当たり前になったが、そもそもバイク用のスマホホルダーは自転車用から発展していった印象が強い。
実際にデイトナが販売する一部のスマホホルダーは自転車用品メーカーの箕浦との共同開発品であった。
デイトナは今のようにあらゆるバイク用品メーカーがスマホホルダーを販売する前から、箕浦の製品にバイク用品メーカーとしての知見を加えて販売してきた。
スマートフォンの大型化に伴いデイトナも対応し、スマートフォンホルダーWIDE IH-250Dクイック、スマートフォンホルダーWIDE IH-550Dリジットを開発した。
発売時期は明確ではないが、アマゾンへの商品登録日が2015年5月27日だったことから、その前後だったものと思われる。
箕浦との共同開発、そして国産であることからデイトナのスマホホルダーを手にしたライダーも多いはず。実際にアマゾンのレビューは3118件にものぼる。 ※2022年5月現在。
だが2021年9月15日、日本でも絶大な人気を誇るスマートフォン、アイフォンを販売するアップル社から驚きの発表がされる。
「オートバイの高出力エンジンなどの振動を受け続けるとアイフォンのカメラに影響することがある」というものだ。
デイトナは対応策として次世代型スマートフォンホルダーSPコネクト用にアンチバイブレーションモジュールを発売した。
筆者はスマートフォンホルダーWIDE IH-250Dクイックを愛用してきたが、アイフォンユーザーなのでバイクに着けていたら振動でカメラが壊れると言われれば使うことはできない。
さすがに2015年発売当時には予見できなかったことだし、今更古いスマホホルダーの対応をメーカーに求めることはできないと思っていたが、なんと2022年に対策するためのパーツが発売されたのだ。
目次
バイブレーションコントロールデバイス
許可をもらって分解してみた
スマートフォンホルダーWIDEに装着してみる
バイブレーションコントロールデバイスの効果は?
販売元のデイトナに問い合わせてみた
故障は高出力エンジンで起こるとは限らない
バイブレーションコントロールデバイス
スマホホルダーに追加で組み込むことでバイク特有の振動や路面からの衝撃を幅広くカバーしてカメラ機能を守るという。
初見の感想としては、思っていたよりも大きい。今まで色々な防振対策パーツを見てきたが、その中でも大きい方に入る。だが大きい方がなんとなく頼もしい!謎の期待感が湧いた。
対応する製品
バイブレーションコントロールデバイスは2品番用意されており、25224は筆者が愛用していたスマートフォンホルダーWIDEに対応するもの、そして23943は2020年頃に発売されたスマートフォンホルダー3に対応するものとなる。
許可をもらって分解してみた
デバイス内部には医療機器の輸送など実績の高い、株式会社アソブラボが販売するソフトマテリアル、engelook™を採用している。
静岡県で輸送事業を手掛ける大河原運送を親会社に持ち、黒子ポジションで振動、衝撃、応力集中が原因の弊害対策が特徴のアソブラボはクライアントに応じて最適な素材を提供しているという。
製品を見てみるとボルトで蓋がされていて、開ければ中身が見えそうだったのでデイトナ担当者に確認の上、特別に許可を頂いて開閉してみた。
※適切なトルクで蓋がされていてるため、開閉すると使用時に性能が低下する恐れがあります。今回は取材用に特別に許可を頂いております。絶対に開閉しないようにしてください。
engelook™はシリコーンゴムにシリコーンオイルを吸収膨潤させたシリコーンゲルという定義だそうだが、モノづくりの現場にいた筆者をもってしても「普通のシリコン」という印象しか持てなかった。
だがアソブラボのホームページを見ると誰しもが「なんかすごそう」という印象を持つはずだ。それだけ熱意をもって技術を解説している。