競争・変異・多様化は生命発生以前から続いていた

物質から生命の進化を可能にしたのは「寄生体」との共進化だった
(画像=現生生物の系統樹も競争・変異・多様化の繰り返しで形成された/Credit:wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

今回の進化実験は、単一のRNAからスタートしています。

はじめは1種類しかなかったRNAが、複製の過程で自己の一部から寄生体をうみ、寄生体との生存競争から種がうまれ、多様化がはじまりました。

論文が書かれた時点で300世代まで継代された自己複製系はその後も維持され、現在も進化は続いているとのこと。

この加速する多様性と絶え間ない競争の果てに、生命誕生に必要なパーツが出そろい、ある時点で必然的に組み合わされて、生命が誕生したのかもしれません。

そうなれば競争・変異・多様化という現在まで続く生命進化は、生命誕生以前の分子レベルの自己複製系から続いていたことになります。

研究内容はフランス国立科学研究センターの古林太郎氏、および東京大学大学の市橋伯一教授らによってまとめられ、7月21日に学術雑誌『eLife』に掲載されました。

Emergence and diversification of a host-parasite RNA ecosystem through Darwinian evolution

提供元・ナゾロジー

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