都心の最高気温が35度を上回ったある夏の日。長野県長野市の戸隠(とがくし)では、標高1200mに吹く風を日陰で受けると涼やかな時が流れました。
戸隠高原に広がる戸隠キャンプ場は、芝の緑が美しい各種サイト(スペース)を中心に、お隣には牧場、ちょっと足を伸ばせば温泉も。今回は、家族連れから熟練キャンパーまで、幅広い層がハマる同キャンプ場の魅力を紹介します。
目次
1. 戸隠キャンプ場とは? 広大な芝生と森のフィールド
2. 戸隠キャンプ場には選べる宿泊施設が3種類
1. 戸隠キャンプ場とは? 広大な芝生と森のフィールド

清らかな水をたたえる逆さ川とその支流に挟まれ、白樺やクヌギをはじめとする清々しい木々が、広々とした芝生を囲みます。西に目をやれば、屏風(びょうぶ)のような戸隠連峰、南東に目を転じれば毛無山(けなしやま)のモヒカンヘッドのようなユニークな山肌が望めます(冬の毛無山は戸隠スキー場に)。
戸隠キャンプ場が位置しているのは、そんな長野県ならではの大自然を堪能できる妙高戸隠連山(みょうこうとがくしれんざん)国立公園のど真ん中。5月には、いたるところでミズバショウが凛々しく白い花を咲かせます。8月頃には「幻の花」の異名を持つ、トガクシショウマにお目にかかれることも。
総面積22ヘクタールと日本屈指の広さを誇る敷地は、車の乗り入れが可能なオートキャンプ場。日帰りのデイキャンプも受け付けていて、約束事を守ればペットの同伴も可となっています。
テントを自在に駆使できる熟練キャンパーさんは、広大な敷地から自分好みの場所を選べるフリーサイトへどうぞ。予約は不要。と言うか、予約不可。さらに言えば先着順。キャンプ場入り口、駐車場に隣接したウェルカムハウスで、当日8:30から17:00まで受付が行われています。

フリーサイトをさらに奥へと行くと、戸隠山の眺めが抜群の区画サイトと、キャンピングカー利用に便利な電源水道付サイトがあります。こちらは予約ができるので、フリーサイトが混み合っている場合でもゆったりキャンプを楽しめます。

ちなみにレギュラーシーズン(おもに平日)の様子は写真の通り。広大なキャンプ場を独り占めしたかのような錯覚におちいるほどで、スペースはよりどりみどりです。ただし問題は、オンシーズンであるゴールデンウィークや、ハイシーズンである夏休み期間中との混雑具合のギャップ。特にお盆前後は、広大なサイトがテントの花で埋め尽くされたかのような様相になってしまうのだとか。ゆったりのんびりキャンプを楽しみたい人は、穴場である平日を狙いましょう。
2. 戸隠キャンプ場には選べる宿泊施設が3種類
もちろんテントを張れなきゃキャンプができないわけではありません。キャンプ初心者や未経験者、「やっぱ寝る時は建物の中!」という人向けの宿泊施設も充実しています。
コテージ


中でもコテージは森にたたずむ貸し別荘の趣。8畳の和室と7畳のフローリング、キッチンにロフトとデッキ、トイレ(ウォッシュレット!)とお風呂(シャワーにあらず!)からなる全6棟です。備品を列挙すれば、ガスコンロ・流し・冷蔵庫・電子レンジ・炊飯器・電気ポット・6人分の食器・6人分の布団・暖房・各種調理器具などなど。6人用なので、家族やグループでの利用にも最適です。
バンガロー

反対に、「テントより快適ならそれで十分!」「ともかくリーズナブルに利用したい!」という人におすすめなのがバンガロー。電気・水道なし。キャンプ場内唯一とも言える、昭和レトロ建築です。
ログキャビン

なお、ぼくが利用した照明・電源付き7畳のログキャビンは、備品が一切ありませんでした。しかし、高めの天井と木のぬくもりが心地よく、就寝時にそっと耳をすませば、窓外からは裏を流れる小川のせせらぎが優しく聞こえてきました。
ちなみに標高の高さから、場内は真夏でも蚊はほとんど見られません。ただし、自然豊かで小川も多いだけあって、アブは非常に多く見られます。アブと戸隠高原は切っても切れない関係のようで、かつて皇太子妃時代の美智子さまがこの地を訪問なさることになった際、地元紙ではこのアブ問題をいかに解決すべきかが論点として取り上げられたのだとか。場内にはアブを捕獲するためのアブトラップも設置されてはいますが、効果のほどは......。
アブの好物はガソリンの匂い。車をテントに横付けする際は、必ずエンジンを切りましょう。さもないとあなたの車がアブトラップとなってしまいますよ。ぼくは2日の滞在中一度だけ刺されましたが、大きめの蚊に刺されたくらいの感覚で、かゆみも蚊と同じ感じでした。平手一発でノックアウトです。