目次
民泊副業の注意点
民泊副業のはじめ方

民泊副業の注意点

民泊副業には多くのメリットがある一方、副業するにあたり注意点も確認しておかなければなりません。

注意点1. 180日間の営業制限がある

民泊の急速な普及に応える形で誕生したのが民泊新法。しかし、民泊新法にもとづいて運営できる民泊は、「人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定した日数が1年間で180日を超えないもの」と定められています。

180日の営業制限が設けられた背景には、民泊事業の普及によるホテル・旅館業需要の低下を懸念する声があがったためだと言われています。ですが、民泊を禁止してしまえば、訪日外国人などの増加による観光需要を取り込むことができません。そのため既存事業の妨げにならない範囲の日数として、年間180日の営業制限が設けられました。

では、仮に180日以上営業した場合はどうなるのか。じつは180日を超えて営業しても、民泊新法による罰則は特にありません。しかし、180日を超える営業は民泊新法ではなく、旅館業法にもとづく許可を得る必要があります。

つまり、無許可で180日以上民泊を運営すると旅館業法違反の罪となり、6か月以下の懲役もしくは3万円以下の罰金が科せられます。また、都道府県知事への定期報告で、宿泊日数について虚偽報告を行った場合、民泊新法にもとづいて30万円以下の罰金が科される可能性があることにも注意しておきましょう。

注意点2. 収入が安定せず、赤字もあり得る

宿泊業である以上、物件の稼働率が収入に直結してきます。稼働率は時期によって異なるため、収入が安定しにくいです。宿泊予約が入らなければ収入が得られず、収入は観光客数や周辺施設、繁忙・閑散時期の影響を大きく受けることになります。

また、運営している限りランニングコストがかかります。物件を購入した場合にはローンの返済、物件を借りた場合には家賃の支払いなどが発生しますし、民泊仲介サービスを利用するとなると、手数料もかかります。その他にも、インターネットなどの通信費や水道光熱費、トイレットペーパーなどの消耗品費なども発生してくるでしょう。

つまり、収入が安定しないだけでなく、場合によっては赤字が発生する可能性もあります。

実際、今回のコロナ禍でも民泊事業は少なからずダメージを受けています。今から民泊事業の副業を検討するならば、コロナ禍の問題が解消されたあとでも、「以前のような需要は本当に回復するのか」といったシミュレーションは慎重に行いましょう。

注意点3. 近隣住民とトラブルの可能性がある

宿泊者が大声で騒ぐ、ゴミを適当に捨てて帰るといった問題等で、近隣住民との間でトラブルが発生する可能性もあります。また、外国人が出入りすることを不安に思う近隣住民も少なくないようです。

宿泊者・近隣住民がお互い快適に過ごせるように、宿泊者に対するトラブル防止策を事前に伝えておきましょう。トラブルが起こったときの対応方法をあらかじめ近隣住民に説明しておくなど、事前に対応をしておくことが望ましいと言えます。

民泊副業のはじめ方

今回は、すでに物件を所有している方が民泊副業をはじめる場合の手順について、順を追って解説します。

ステップ1. 事業計画を立てる

副業で民泊をやると言っても、民泊は立派なビジネス。そのため、事業計画は必要です。

コロナ禍の影響で自由に移動することが制限されている世の中でもあり、勢いだけで民泊をはじめるにはリスクが高くなってきています。事業計画はきちんと立てるようにしましょう。

ステップ2. 初期費用を準備する

仮に物件を所有している方が民泊をはじめる場合でも、最低10万円~100万円程度の初期費用は見積もっておくべきです。

たとえば、民泊物件には規定の消防設備の設置をしなければなりませんし、非常灯や火災報知器など最低限の設備を設置する場合でも、費用は約20万円必要です。民泊の規模が大きい場合や旅館業での営業許可取得を目指す場合には100万円以上かかることも。

法的な設備だけでなく、ゲストが快適に過ごせる環境を整えるのにも費用はかかります。ベッドや洗濯機、冷蔵庫など、最低限の家具や家電は揃えておきたいところ。この部分をおろそかにしてしまうと、集客者数や宿泊客の質に悪影響を及ぼす可能性があります。

ステップ3. 民泊を始めるための手続きをする

民泊は、根拠となる法律によって「旅館業民泊」、「特区民泊」、「民泊新法」の3つの運営スタイルに分けることができます。副業で行う民泊の場合、一番手続きが簡単な「民泊新法」にもとづいた運営が基本になるでしょう。

民泊新法の場合は、消防設備や緊急時の対応などの基準を満たしていることを証明する書類を提出するだけで運営が可能になります。

旅館業民泊特区民泊民泊新法
根拠の法律旅館業法国家戦略特区法住宅民宿事業法(民泊新法)
許認可許可認定届出
営業日数制限なし制限なし(最低2泊3日以上の滞在が条件)180日以内
特徴・ホテルや旅館と同程度の民泊運営が可能
・基準が厳しく、手続きが大変
・住居専用地域での運営は不可
・営業日数に制限がない
・認定基準が旅館業民泊よりも低い
・一部の戦略特区のみで運営が可能(東京都大田区など)
・届出のみで運営可能
・住宅街(住居専用地域)での運営が可能
・営業日数制限がある

ステップ4. 民泊サイトに登録する

運営許可がおりたら、民泊サイトに登録し、情報を掲載していきましょう。とくに掲載する写真は、宿の予約率・稼働率に大きく影響します。

多少費用はかかってもプロのカメラマンに撮影を依頼し、素晴らしい写真を掲載するように心がけましょう。

また、複数のサイトに登録しておくことで、稼働率を上げることにもつながります。ただし、複数のサイトを利用する場合には、ダブルブッキングには要注意です。