先日、「ベーシックインカムの導入について、誰も真剣に考えていない」と書いたところ、誰からも反論がなかったので、「本当に誰も真剣に考えていない」ということが確認できたわけですが、それでも、時々、ベーシックインカムが話題に上るのは、「ただでお金がもらえる社会というものが魅力的だから」だど思っています。

ベーシックインカム導入でどんな日本になるのか想像してみた --- 井上 孝之
(画像=写真AC、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

そこで、ベーシックインカムが導入されると日本はどう変わるかを以下のように考えてみたわけですが、この原稿を書きながら思ったことは、ベーシックインカムで議論の中心となる「財源をどうするか」という問題は実は小さな問題で、国民のマインドが「安定重視」から「挑戦重視」に変わることの影響をどう評価するかが重要になるのではないかということでした。

国民は大きく3つに分かれる

ベーシックインカムが導入されると日本の国民は大きく3つに分かれると考えています。

①働かないでベーシックインカムの範囲で生活する
頑張らない代わりに多くも望まないという人はこの生活スタイルとなります。多分、一度この生活に慣れてしまうと少し働くことも苦痛になるので、この生活からは抜けられなくなると思われます。

②ベーシックインカムに加えて、そこそこ働くことでそこそこの生活をする
ベーシックインカムだけでは足りないので、少し働くことで足りない分を補填して、そこそこの暮らしをするというライフスタイルとなります。国民の大半がこのライフスタイルを選択することになると考えられます。

③高い目標を掲げ、リスクに挑戦する
ベーシックインカムによって、リスクに挑戦して失敗しても最低限の生活が保障されるので、起業や新規事業のようなリスクの高いことに挑戦する人が多く出てくると思われる。その結果、日本は新規ビジネス大国になるかもしれません。もしかしたら、ベーシックインカムの導入に必要なコストはこの人たちが生み出す富で賄うことができるかもしれないと考えています。

労働者にやさしい社会ができる

「生活が苦しいので、きつい仕事でも働かざるを得ない」という人がいなくなるので、労働者に配慮した業務でしか人を雇うことができなくなります。少しでもきつい仕事を割り振ると、「こんなにきつい仕事をやらされるぐらいなら、ベーシックインカムの範囲でつつましく生活します」と言って労働者は去っていくことなります。