破産費用が払えない
今回、例にあげたゾンビ企業は債務超過であり、その債務額も莫大でした。倒産させてしまった方が楽だったかもしれません。けれど、それができなかった。なぜか?
「倒産(破産)するためのお金が払えなかった」
からです。破産手続きに必要な百万円超(予納金・弁護士費用等)のお金がない。自身に引導を渡すことを、先送りしたため、破産すらできない状況だったのです。
今後、経営環境はますます厳しくなります。自分に甘いゾンビ企業経営者が一定数いる以上、
- 金融機関は、融資先の経営状況を把握し、問題を先送りしな
- 行政機関は、実現性の低い事業計画には補助金を出さない
- 従業員は、給料が払われなくなったら、すぐ会社を辞める
など、利害関係者が、厳しく経営状況を見る必要があります。
お金を払えない企業は潰すべき
「お金が払えないゾンビ企業」は倒産してもらった方が良い、と筆者は考えます。理由は二つ。
一つ目は、ゾンビ企業に関わると、自社もゾンビ化するからです。

ahmadreza heidaripoor/Pixabay(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)
商品やサービスを提供したにもかかわらず、対価を受け取れない。取引額が大きいほど、経営環境が悪化し、自社までゾンビ化する可能性が高くなります。ゾンビ企業を減らすことは、優良企業を存続させることにつながるのです。
二つ目は、従業員を救うためです。
事例に挙げたゾンビ企業の従業員は、半年間無給状態でした。もし、会社が倒産すれば、厚生労働省(独立行政法人労働者健康安全機構)の「未払賃金立替払制度」を活用し、未払給料の8割を受け取ることができます。全額ではありませんが、一部だけでも回収できる。タダ働きにならない、ということは従業員にとって大きな救いになるのではないでしょうか。