背伸びはしない。高機能・低価格の波が銀座にもくる

場所が銀座だからといって、背伸びはしない。銀座店の限定品は用意しないし、他店舗と比べて品揃えが豊富ということも特にない。価格もワークマン女子のプライスレンジのままだ。
「出店前にさまざまな他企業の方々と話をする機会をいただいた。我々と同じフロアに100円雑貨のセリアさんが入るお話も開発の交渉の段階で耳にしていたし、ダイソーさんも4月に銀座に出店されている」(島氏)
ワークマン女子銀座店は、ユニクロとGUの間に位置することから、買い回りも期待できる。「銀座にも低価格で高機能の波がくる。価格も商品も何も変えることはない。これまで通り自信を持って勝負しようと腹が決まった」(同)
ただし、客をワクワクさせる演出を怠ってはならない。例えば、東京ガールズコレクションに出展したコーディネイトを着せたマネキンを店にも設置して“マネキン買い”できるよう工夫し、高級ブティックのような“高見え(実際の価格帯より高級に見えること)”を狙って、蛍光色のマネキンを採用した。床材は木目調で、やわらかな印象を心がけた。
春に、「まん延防止等重点措置」が全面解除となってから、銀座にも人が戻りつつある。「銀座で働いている人も多くいるため、仕事で着用される商品の購入などでご利用していただけると考えている。勝機はそこにもある」(同)
“銀座仕様”のオペレーション確立へ

一方で、銀座の地で勝負するからこそ見えてきた課題もある。現在取り組んでいるのは、オペレーションの改善だ。
現在、銀座店に登録しているスタッフは約20名で、内7~8名が店舗に常駐している。一方で客は平日に約300人、休日には700人が訪れ、他店舗と比べてかなり多い。「時間帯によってはレジ待ち客で長蛇の列ができてしまうためレジ対応に追われ、顧客体験を満足に提供できていない部分がある」(島氏)
例えば、このようなトータルコーディネートをすれば、雨の日の保育園の送り迎えが楽になる、など「発見と日常がすてきに変わる体験をお客さまにご提供したい」(同)
こうした課題を踏まえ、銀座店の店長には、長年、銀座の地で接客を行なってきた“接遇のプロ”を選任。銀座クオリティに合わせて接客の質を向上していく考えだ。
なお、#ワークマン女子業態の売上は、まだ全社の1割に満たないが、トライアンドエラーを重ね、今後も出店速度を加速させていく。