複業者・パラレルワーカーの所得はどうなる?
今回の改正案によって副業を事業所得として申告することが難しくなったわけではなく、もともと副業を事業所得として申告するのは難しいという事情をご理解いただけたかと思います。
ただ実際のところ、副業の事業所得申告は、少額であれば黙認されるのが一般的でした。それが300万円ラインの明確化により、キッパリと否定された意味で、大きな改正案といえるかもしれません。
しかし、このニュースを見て筆者が一番気がかりだったのは、「複業」「パラレルワーカー」の所得がどう判定されるのか、という点です。
たとえば、会社員として週3日勤務して250万円を稼ぎ、ほかに個人事業主として週2日250万を稼ぎ、さらにまた別の仕事で週1日稼働して250万円を稼いだ場合。
こうした働き方をしている人もいるはずですが、仮に税務署が「週3日勤務」を本業とカウントした場合は、2つの事業で300万円の基準をクリアできないことになります。
もちろん、改正案でも「収入300万円以下」という条件にくわえ、「反証がなければ」雑所得と扱うと述べられています。また、「社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうか」という判定基準もありますので、「300万円以下は絶対に雑所得!」と決まっているわけではないでしょう。
しっかり根拠を説明できれば大丈夫だとは思いますが、個人的には国として「多様な働き方」を推進する以上、最初から複業やパラレルワークまで考慮した制度設計にしてほしかったかなと感じました。
なお、「この制度はどうなんだろう……?」と感じた場合は、2022年8月31日まで国税庁が募集している「意見募集フォーム」に意見を提出できます。ぜひ、思うところを書いてみてください。
(執筆:齊藤颯人 編集:じきるう)
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