目次
不動産取引における電子契約の流れ
不動産取引における電子契約の注意点
不動産取引における電子契約の流れ
不動産取引における一般的な契約の流れの中で、書面契約と電子契約で異なるのは「媒介契約」「重要事項説明」「不動産賃貸借・売買契約」の部分です。
ここでは、不動産取引における電子契約の流れについて、書面契約との違いに触れながら解説します。
媒介契約
依頼者の承諾を得た上で、媒介契約書面(34条の2書面)を電子化することが可能です。
媒介契約の電子契約に対応した電子契約システムなどのサービスを利用することで、書面契約で必要となる押印ではなく電子署名により契約締結できるようになります。
当事者が画面に映された契約内容を確認しながら手続きを進めていくことになります。
IT重説
重要事項説明(重説)は対面で行うことを義務付けられていましたが、2017年10月1日から賃貸契約、2021年3月30日から売買契約において、IT重説の運用が開始されました。
IT重説はWeb会議システムなどを利用してオンライン上で行うため、まずは音声や映像に問題なくリアルタイムで通信できているか確認します。
宅地建物取引士証をカメラに映して相手に確認してもらった上で、重要事項説明を行います。
なお、重要事項説明書を電子化したい場合には添付書類を含めてすべて電子化する必要があり、かえって不便になる状況においては、これまでどおり書面を事前に交付する方法も並行して行われると思われます。
不動産賃貸借・売買契約
重要事項説明が終わった後に、不動産賃貸借・売買の電子契約を行います。
書面契約では契約内容を確認して同意すれば押印を行うことになりますが、電子契約では電子署名により契約締結をする流れになります。
なお、紙による契約書では本人であることの証明として印鑑証明書と押印が用いられていますが、電子契約の場合は本人確認として電子証明書が用いられるのが一般的です。
具体的な電子契約の流れは電子契約システムによって異なる場合があるため、不動産会社の指示に従いましょう。
不動産取引における電子契約の注意点
ここでは、不動産取引における電子契約の注意点について解説します。メリットだけでなく注意点も理解して、電子契約を利用しましょう。
当事者のIT環境確認が必須
電子契約を進めるためには、インターネットの接続環境の確認が必須です。
特にオンライン上でリアルタイムに契約をするためには、音声や映像がきちんと伝わっているのか確認する必要があるでしょう。
契約を進めていく中で音声や映像の乱れがあった場合は、一時中断して問題を解消してから再開します。
不動産取引は大きな金額が動くケースが多いため、内容をきちんと確認できないまま契約してしまうと後々トラブルに発展してしまう可能性が高まります。
電子契約にあたり、インターネットの接続環境は必ず確認しておきましょう。
セキュリティ対策
契約書類を電子データとしてサーバー上に保管・管理する場合は、きちんとセキュリティ対策を行い情報漏えいやデータ改ざん・消失を防ぐ必要があります。
不動産会社から電子契約を提案された場合は、電子データの暗号化など適切なセキュリティ対策が行われているか確認しておくとよいでしょう。