つい先日、知人から「〇〇エリアの物件に不動産投資をしたいが、どう思うか」と聞かれ、慌てて「やめた方がいい」と答えた覚えがある。

知人にはリスクをきちんと説明し、「不動産投資をするなら、こういう物件から始めた方がいい」とアドバイスしたら、「危うく失敗するところだった」とも感謝された。

不動産投資は学校で習うものではないので、一般の方には知識が十分に浸透していない。

間違った知識のまま始めてしまう人も多いので、始めるなら基礎知識を身に付けてからスタートしたいところだ。

この記事では、「不動産投資」について解説する。 不動産投資はやめとけといわれる理由や不動産投資の利回り、メリットとデメリット、失敗する原因、リスクヘッジ策について紹介していく。

不動産投資はやめとけと言われる理由

【初心者必見】不動産投資を失敗する10の原因と効果的なリスクヘッジ策とは
(画像=『男の隠れ家デジタル』より引用)

最初に不動産投資はやめとけと言われる理由について解説する。

余計な負債リスクを抱えることになるから

不動産投資はやめとけと言われる理由の一つには、 余計な負債リスクを抱えることになる点が挙げられる。

一般的に不動産投資では借入金を借りて行うが、住宅ローンだけを借りている人よりも、住宅ローンと不動産投資ローンを組んでいる人のほうが返済リスクは高い。

例えば、区分のワンルームマンションを投資するのにローンを借りた場合、空室が発生している間は住宅ローンと不動産投資ローンの2つを自力で返済する必要が生じる。

住宅ローンだけなら無理なく返済できる人でも、不動産投資ローンの返済も加わることで逆に生活が苦しくなることもある。 わざわざ生活が苦しくなるような選択をする必要はないので、不動産投資は止めたほうがいいという意見も一理あるのだ。

個人投資家には良い物件が回ってこないから

不動産投資をやめておけという人の中には、個人投資家には良い物件が回ってこないことを理由に挙げる人もいる。

この理由には若干語弊があるが、 個人投資家はプロに比べると圧倒的に物件の検討量が少ないことは事実といえる。

プロの機関投資家 ※1 にも良い物件が回ってこないのは同じであるが、プロは1週間に何百件という物件を検討した上で投資物件を決定しているため、厳選の仕方が一般投資家とは全く異なる。

※1 大量の資金を使って株式や債券で運用を行う大口投資家のこと

実際には個人投資家が1週間に何百件と検討することはできないので、個人投資は良い物件に出会う前に投資を決めている状況にある。 その結果、個人投資家には良い物件が回ってこないように見えるのだ。

大きく儲けることはできないから

不動産投資は大きく儲けられないこともやめておけと言われる理由である。

株式投資のように大きく儲かるものではなく、どちらかというと「コツコツ」稼ぐタイプの投資となる。

収益性の低さを考えると、わざわざ多額の借入金をしてまでやる意味があるのかと思える部分も多く、馬鹿馬鹿しささえ感じる気持ちもわからなくない。

不動産投資を始める人の中には、いずれ経済的自由人になりたいと考えている人も多いが、経済的自由人になるまで資産をかなり増やさなければならず、相当の辛抱が必要だ。 不動産投資は、 手っ取り早く稼ぎたいと考えている人には不向きであり、大儲けしたいと考えている人はやめておけと言われることも多い。

不動産投資の利回り

【初心者必見】不動産投資を失敗する10の原因と効果的なリスクヘッジ策とは
(画像=『男の隠れ家デジタル』より引用)

健美家の「マンスリーレポート2022年6月期」によると、2022年6月時点の不動産投資の利回りは下表のようになっている。

地域区分マンション一棟アパート一棟マンション
全国7.43%8.25%7.92%
北海道10.98%10.56%8.60%
東北12.37%13.52%11.54%
首都圏6.90%7.85%7.21%
信州・北陸18.91%12.14%11.86%
東海10.22%9.5%9.26%
関西7.45%9.11%8.45%
中国・四国13.46%10.94%11.30%
九州・沖縄10.18%9.32%8.94%

出展:健美家「マンスリーレポート2022年6月期」

上表の利回りは表面利回りといい、投資額に対する家賃収入の割合を指す。

実際には、家賃収入から固定資産税や建物保険料、管理委託料、借入金の返済額等の支出が控除されるため、キャッシュフロー(手残りのこと)の利回りはもっと低い。

一般的に、固定資産税や建物保険料、管理委託料、修繕費といった賃貸経営に必要な費用の割合は家賃収入の20%程度となる。

借入金の返済額の割合は、家賃収入の50%以内に抑えることが適正とされる。そのため、 手残りであるキャッシュフローは家賃収入の30%程度となる。

例えば、首都圏の区分マンションの表面利回りが6.9%であれば、キャッシュフロー利回りは2.07%(=6.9%×30%)程度といったところだろう。

利回りは首都圏や東海、関西のように 都市部のほうが低い。首都圏や関西圏は、人口が多いため、賃貸経営のリスクが低いためである。

利回りはリスクの裏返しなので、賃貸経営のリスクが高い地方ほど利回りも高くなっている。