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不動産の生前贈与の注意点
贈与の方法や必要性を検討しよう

不動産の生前贈与の注意点

贈与で発生する税金の計算方法。不動産の場合は評価額が必要
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

不動産の生前贈与にはいくつかの留意点があります。無用なトラブルを避けるために、贈与の方法や不動産の利用、相続について、家族でしっかりと話し合っておきましょう。

土地を無償で借りる方法もある

祖父母や父母が土地を所有している場合、贈与をせずに無償で借りるという選択肢もあります。貸主から土地を無償で借用し、一定期間後に貸主に返還する契約は「使用貸借」とよばれます。 

使用貸借であれば贈与税の支払いはなく、賃貸借のように支払うべき料金も発生しません。ただし貸主が死去すると「相続問題」が絡んできます。仮に、土地が自分以外の相続財産となった場合、土地の使用を巡りトラブルになる可能性があるでしょう。

使用貸借をする場合は、関係者全員にその事実を知らせたうえで、貸主と借主との間で使用貸借契約書を交わすことをおすすめします。

また、一部の相続人が生前贈与で受け取った利益は「特別受益」とよばれます。使用貸借が特別受益とみなされた場合、遺産相続では相続人がすでに特別受益相当額の遺産を受け取ったとして、遺産分割協議を行うのが通常です(持ち戻し)。

持ち戻しを避けたい場合、被相続人は「特別受益を持ち戻す必要がない旨」を遺言書に残しておく必要があります。

相続時に小規模宅地等の特例が使えない

「小規模宅地等の特例」とは、相続・遺贈で取得した財産の中に、被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族により「事業の用」または「居住の用」にされていた宅地があった場合、相続税の評価額が割り引かれる特例です。

被相続人が居住していた宅地は、残された家族の住居となるケースが多く、多額の相続税が課せられると、宅地を手放し路頭に迷ってしまう可能性があります。

小規模宅地等の特例が適用となれば、最大80%まで評価額が減額されるため、相続税の負担は軽くなるでしょう。

小規模宅地等の特例は生前贈与には適用されません。税負担の面において、相続と生前贈与のどちらがよいか、家族で話し合う必要があるでしょう。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

贈与の方法や必要性を検討しよう

贈与で発生する税金の計算方法。不動産の場合は評価額が必要
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

預貯金や不動産等の財産の贈与には贈与税がかかります。課税制度は暦年課税と相続時精算課税の2種類があり、どちらにもメリットがあります。贈与を検討する際は、いつ・誰に・どのくらい贈与するのかを明らかにしたうえで、適切な方法を選ぶ必要があるでしょう。

贈与財産の中に不動産がある場合は、必ずしも生前贈与がよいとは限りません。多額の贈与税が課せられることを考えると、小規模宅地等の特例が活用できる「相続」という選択肢もあるでしょう。

財産の贈与方法や権利関係で困ったことがあれば、税理士や弁護士に相談することをおすすめします。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。 監修: 窪 孝史 (公認会計士・税理士/税理士法人オフィスネクスト)

提供元・RENOSYマガジン

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