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条件を満たせば税の負担なく贈与ができる
不動産の贈与税の計算

条件を満たせば税の負担なく贈与ができる

贈与で発生する税金の計算方法。不動産の場合は評価額が必要
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

贈与税はすべての財産が対象となりますが、贈与の目的や用途によっては、一定の限度額において贈与税が非課税となります。具体的にどのような贈与が非課税となるのか、見ていきましょう。

教育資金

直系尊属から教育資金として一括贈与を受けた場合は、1,500万円までが非課税となります。教育資金とは、学費・教材費・文具費などに充てられる金銭のことです。

直系尊属は、受贈者の父母・祖父母・曽祖父母などを指し、叔父や叔母、配偶者の父母は含まれません。非課税となるには、以下のような一定の条件を満たす必要があります。

  • 受贈者の直系尊属からの贈与であること
  • 受贈者が30歳未満であること
  • 金融機関との間で教育資金管理契約を締結したうえで、教育資金非課税申告書を金融機関経由で税務署へ提出すること

適用される期間は2013年4月1日~2023年3月31日です。

参考:No.4405 贈与税がかからない場合|国税庁

結婚・子育て資金

直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合は、贈与税の非課税措置が適用されます。結婚・子育て資金に該当するのは、挙式費用・新居費用・不妊治療に要する費用・子の医療費・保育料などです。

非課税限度額は1人につき1,000万円(結婚関連は300万円)で、主な条件は以下の通りです。

  • 受贈者の直系尊属からの贈与であること
  • 受贈者が18歳以上、50歳未満であること
  • 金融機関との間で結婚・子育て資金管理契約を締結したうえで、結婚・子育て資金非課税申告書を金融機関経由で税務署へ提出すること

適用される期間は2015年4月1日~2023年3月31日です。

参考:No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁

住宅取得資金

2022年1月1日~2023年12月31日に、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合、一定の条件を満たすと贈与税が非課税となります。非課税限度額は、省エネ等住宅が1,000万円、それ以外は500万円です。

受贈者の要件に加え、住宅用の家屋にも細かな条件があるため、すべての住宅取得者に当てはまるとは限りません。

例えば、新築・取得した住宅用の家屋の場合、登記簿上の床面積は、40m2以上、240m2以下で、床面積の1/2以上が受贈者の居住に用いられる必要があります。

また、2009~2023年の贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがない人が対象です。

参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

不動産の贈与税の計算

贈与で発生する税金の計算方法。不動産の場合は評価額が必要
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

祖父母や父母から「不動産」を贈与された場合も、贈与税の支払い義務が生じます。登記名義を変更した時点で贈与とみなされるため、受贈者は忘れずに申告・納税をしなければなりません。

名義変更して譲り受けたら贈与となる

土地や家、マンションなどの不動産名義変更手続きは「贈与登記」ともよばれます。物や金銭のやりとりがないと贈与の意識が薄れがちですが、不動産は名義変更で贈与が成立する点に注意が必要です。

贈与税の申告・納税は必ず「もらった年の翌年の2月1日~3月15日」に行いましょう。税務署にも名義変更の事実が通知されており、申告・納税を怠った場合はペナルティが科される対象となります。

不動産の贈与税の計算方法は金銭の贈与時と同じです。ただし、不動産の場合は取得した土地・建物を評価し、どのくらいの経済的価値があるのかをあらかじめ算出する必要があります。

土地の評価額とは

土地の評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。対象の土地が路線価地域と倍率地域のどちらに該当するかは、国税庁が公開する「財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)」で確認しましょう。

参考:財産評価基準書 路線価図・評価倍率表|国税庁

路線価方式とは、路線価(道路に面する標準的な宅地1m2あたりの価額)に基づいて評価額を算出する方法です。路線価に面積を乗じるのが基本ですが、これにさまざまな調整を加えて算出します。例えば、奥行きが短いまたは長い部分についてはそれぞれ法令解釈通達で指定された補正率を使って調整します。

倍率方式は、路線価のない地域での算出方法で、計算式は「固定資産税評価額×倍率」です。

建物の評価額とは

建物の評価額は「固定資産税評価額×1.0」で算出します。従って、評価額は固定資産税評価額と同額です。

固定資産税評価額は毎年役所から届く「固定資産税の納税通知書(課税明細書)」で確認できます。明細書の項目は「土地」と「家屋」に分かれており、該当する家屋の「価格」に記載された数字が固定資産税評価額です。

明細書には「課税標準額」という項目もありますが、これは評価額を算出する基となる金額です。

通常は「評価額=課税標準額」が成り立ちますが、課税標準の特例措置などが適用される場合は、「評価額>課税標準額」となります。評価額と課税標準額を間違えないようにしましょう。