目次
PDCAに代わるPDR
 ・PDRとはPDRとは以下の頭文字を取った略語です。
 ・Prep:準備
 ・Do:実行
 ・Review:評価=見直し
PDCAからPDRそしてOODAへ
 ・OODAとは
 ・Observe:観察
 ・Orient:仮説構築
 ・Decide:意思決定
 ・Act:実行

PDCAに代わるPDR

PDCAの欠点として挙げられるのが、「サイクルの遅さ」です。半年から1年、あるいはそれ以上期間でサイクルを回す必要があり、長期に渡る検証期間を要します。

その欠点を補うべく生み出されたのが「PDR」です。ハーバードビジネススクール教授であるアメリカ人のリンダ・ヒル氏が提唱したフレームワークです。PDCAに比べサイクル稼働期間が格段に短縮される特徴があります。

PDRとはPDRとは以下の頭文字を取った略語です。

・ Prep:準備
・ Do:実行
・ Review:評価=見直し

Prep:準備

PDCAにおける「P」はPlanでしたが、PDRでは「Prep=準備」に代わります。
つまりPDRサイクルの中に「Plan=計画」は存在せず、即準備に取り掛かること意味しています。

これから実行に向けた取り組みを行うべく、目標の設定や競合調査、市場分析など簡潔に行い下準備を整えます。

Do:実行

「D」はPDCA同様に「Do=実行」を表し、「Prep=準備」段階において行った調査や分析の結果をもとに計画を実行に移していきます。

PDRではPDCAのように「ToDoリストの作成」「作業の細分化」など、綿密な計画を立てた上で実行するのではなく、とりあえず目標達成に向け動きましょう、というイメージで実行に移します。

Review:評価=見直し

PDCAにおける「Check=評価」と「Action=改善」が省かれた代わりに、PDRでは「R=評価」が組み込まれています。

「Check」も「Review」も両方「評価」の意味になりますが、この両者は「評価」の捉え方に違いがあります。

PDCAにおける「Check=評価」は「進捗状況の確認」となりますが、PDRにおける「Review=評価」は「実行後の結果を見直す」という意味合いが強くなります。

PDCAからPDRそしてOODAへ

PDRと同じくPDCAの代わりを担うフレームワークとして台頭してきたのが「OODA(ウーダ)」です。PDRと同じくサイクル稼働期間を大幅に短縮できるのが特徴です。

こちらはPDRまで呼称されていた「サイクル」ではなく「ループ」とされています。戦闘機操縦士であり航空戦術家でもあったアメリカ人のジョン・ボイド氏が提唱しました。

OODAとは

OODAとは以下の頭文字を取った略語です。

・ Observe:観察
・ Orient:仮説構築
・ Decide:意思決定
・ Act:実行

Observe:観察

OODAではまず「観察すること」からループが始まります。単純に「見る」という意味ではなく、状況を判断しながら情報収集を行うことになります。
現場における動向、自らの置かれている立場や周囲の環境など、事実を淡々と収集していきます。

OODAは現時点における状況判断が重要視されるフレームワークで、先の見通せない曖昧な環境においてうまく適合できるとされています。現代のようなVUCA時代において、変化に適応するカギとなる共創力を実現するための有効な手段として、近年ビジネス界で注目を集めているのです。

Orient:仮説構築

「Orient=仮説構築」では「Observe=観察」における段階で収集した情報をもとに仮説の構築を行っていきます。

仮説は当人の思い込みも含め自由に立てることができるため複数の仮説を用意し、現在の状況や環境に最も適していると判断できるものを選択する必要があります。

この仮説の選択しだいで最終的な行動を起こす「Act=実行」における結果が大きく異なってきます。

より良い仮説構築を行うポイントとして挙げられるのが「過去の過ちを取り入れること」です。そしてそれを改善した仮説をさらに構築し、次のループの改善へと繋げていくのです。

Decide:意思決定

「Decide=意思決定」では「Orient=仮説構築」で立てた複数の仮説の中から最適と思われる仮説を最終選定し意思決定を行っていきます。

市場動向や市場における自社の立ち位置、競合他社などを総合的に勘案して、改めて「自社はどうなりたいか」を再確認します。また意思決定とともに「自社で何をするか」もしっかりと取り決めます。

Act:実行

「Act=実行」では「Decide=意思決定」で取り決めた内容を実行していきます。

OODAは目まぐるしく変化していく背景や環境において活用されるフレームワークです。そのため初期の情報収集する段階「Observe=観察」のときと情勢が変化している可能性もあります。
しかしそれらは新情報として、次のOODAループを稼働させる材料となります。

もし情勢が変化していた場合でも「Decide=意思決定」まで取り決めた内容を通常通り実行し、新情報は次のOODAループ稼働時に取り入れるようにします。