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双方向神経バイパスで指先の感覚を得る

双方向神経バイパスで指先の感覚を得る

神経バイパスは実現しましたが、フィードバックという課題が残っていました。

麻痺患者は脳から指示を出して物をつかむことができますが、麻痺により物をつかんでいる感覚がありません。

「脳インプラント」が麻痺患者の手を再び動かした
(画像=双方向バイパスのしくみ / Credit:Asia Pietrzyk,『ナゾロジー』より 引用)

この課題に対処するため、現在、研究チームは「双方向神経バイパス」に取り組んでいます。

これは従来の神経バイパスに加え、指先に装着した薄膜センサーによって触覚を脳に送信するというもの。

「脳インプラント」が麻痺患者の手を再び動かした
(画像=圧力を感知する薄膜センサー / Credit:Abigail Bouton,『ナゾロジー』より 引用)

ただし脳の感覚皮質のうち、指先を扱う領域は脳の溝部分にあります。フィードバックした信号で正確に刺激するのは難しいのです。

しかしこの問題も、研究参加者の脳を何度も刺激して反応を確かめることで、指先を扱う領域の特定に成功。

ブートン教授によると、これにより双方向神経デバイスはある程度機能しているとのこと。

今後もより繊細な動きを可能にするために研究が続けられます。

将来的には、靴ひもを結ぶことやキーボードでタイプすること、ピアノを弾くことも可能になるかもしれません。


参考文献

Brain Implants and Wearables Let Paralyzed People Move Again

元論文

Determining grasp selection from arm trajectories via deep learning to enable functional hand movement in tetraplegia


提供元・ナゾロジー

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