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神経バイパスによってコンピュータ経由で麻痺した腕を動かす

神経バイパスによってコンピュータ経由で麻痺した腕を動かす

「神経バイパス」では、まず脳インプラントが脳の運動皮質から神経信号を拾います。

次にその信号はコンピュータに送られ、解析。

最後にコンピュータから前腕に巻きつけられた電極に刺激を送り、筋肉に指示を与えます。

つまり損傷した脊髄を通さず、コンピュータでバイパスするという方法なのです。

「脳インプラント」が麻痺患者の手を再び動かした
(画像=麻痺患者のルーク・タイナン氏は神経バイパスによって腕を動かす / Credit:Nathaniel Welch,『ナゾロジー』より 引用)

しかし麻痺した手を再び脳で操作するのは非常に難しいこととされています。

実際、脳インプラントに含まれる96個の電極から得られるデータ量は膨大です。

しかもコンピュータはこの中から、「親指を曲げる」などの信号を見つけ出さなければいけません。

さらに前腕に巻きつけた130個の電極に、抽出した信号どおりの刺激を与えて筋肉を動かす必要があります。

加えて人間の手には20以上の自由度(移動や回転)があります。患者が考えた動きを手に反映させるには、無数の組合せを脳から抽出・変換しなければいけないのです。

それでも研究チームは同じ動きを何度もイメージしてもらうことで、特定の活動パターンを把握することに成功しました。

これにより、2020年に発表された論文ではシリアルバーを手でつかんで食べることができたとのこと。