アメリカ・ファインスタイン医学研究所に所属するチャド・ブートン教授ら研究チームは、脳インプラントによって麻痺患者の手を再び動かすことに成功しました。
彼らは「神経バイパス」と呼ばれる方法により、コンピュータを介して、脳から送られる信号を腕の筋肉に伝えました。
これにより麻痺患者は自分の手でお菓子をつかんで食べることができたとのこと。
研究の詳細は、2020年8月25日付けの科学誌「Bioelectronic Medicine」、また2021年1月26日付けの専門誌『IEEE Spectrum』に掲載されました。
麻痺患者は自分の手を使いたい
世界中には540万人もの麻痺患者がおり、今回の研究に参加したルーク・タイナン氏もその一人です。
彼は2017年の事故により脊髄を損傷。手を含む胸から下が完全に麻痺しました。
現在、手足を失った人や麻痺患者のために、脳で操作するロボットアームが開発されています。
ところがタイナン氏を含む麻痺患者の多くは、ロボットアームではなく、「自分の手」を再び使いたいと切実に願っています。
そこで研究チームは、麻痺した手を再び動かすプロジェクトを始動しました。
彼らが用いた方法は、「神経バイパス」と呼ばれるものです。