セグメンテーションの分類と切り口
各セグメントに分けるための主な基準と切り口には、以下の4種類があります。
人口動態変数
人口動態変数とは、
- 年齢
- 性別
- 家族構成
- 所得水準
- 職業
- 学歴
- 宗教
などの人口比によって分類する手法です。
マーケティングで顧客をグループ化する際の基準として、最もよく用いられます。
その理由は、
- 年齢、性別、所得水準などの属性が、実際の消費者ニーズや、製品・サービス使用率などと密接に結びつくこと
- 国や自治体、その関連団体から公的な調査統計が多く出回っていることの2つがあります。
アパレルや外食、通信業界では、年齢層によって商品に対するニーズが大きく異なります。
そのため、ユーザーの年齢層と、商品が市場に投入されてから消えるまでの製品のライフサイクルを意識する必要があります。
また、ファッションやアクセサリー、車、不動産、金融商品などでは、収入や貯蓄別にカテゴリー化して商品を開発します。
地理的変数
地理的変数とは、国、都道府県、市町村の違い、気温が温暖か寒いかの違い、人口密度の違い、主な交通手段の違い、文化的背景の違いなど、地理に関連する条件によって分類する方法です。
具体的には、国内か海外か、東日本か西日本か、関東でも神奈川県なのか埼玉県なのかというように対象を絞っていきます。
気温の影響が大きい家電製品や、食物、衣類などは地理的変数が大きくなります。その一方、インターネットでのネットショップの販売や、オンラインのサービスでは、地理的変数は小さくなります。
心理的変数
心理的変数とは、ユーザーの価値観やライフスタイル、感情など、感性の部分に関係する要素で分類する方法です。サイコグラフィック変数とも呼ばれます。
インターネットやSNS、オンラインでの会話をはじめとする情報量の増加と多様化が、消費者ニーズの多様化をもたらし、心理的変数の重要度が増しています。
アパレル部門で例えると、高級ブランドを好むユーザーと、安く手頃な値段で気軽に購入できるカジュアルブランドを好むユーザーに区分できます。
SNSやネットショップを活用して、個人で商品を販売する動きも増えており、感情的に最先端や個性的を求めるユーザー層にターゲットを絞るニーズも大きくなっています。
行動変数
行動変数とは、曜日や時間、購買環境やその頻度など、ユーザーが購入する要素で分類することをいいます。近年、インターネットやバーコードシステムの充実で、簡単に測定できるため、行動変数に注目が集まっています。
雑誌にたとえると、雑誌を定期購読するユーザー、毎回の雑誌の内容によって購入するユーザー、電子書籍で購入するユーザーまでさまざまです。本屋やコンビニ、駅の売店など購入経路の分析なども含まれます。
セグメンテーションの具体例
ユニクロ
ユニクロは、画期的なセグメンテーションで成功した企業です。ターゲットの細分化が進む一方だったファッション業界において、企画から製造、販売まですべて自社で行う強みがありました。
そこで、「カジュアル、フォーマル、べーショック、トレンド」という4つのシンプルな言葉をもとに、商品でなく自社を大きなセグメントに再定義しました。
その中で自社の強みを分析し、商品を限定し、色とサイズのバリエーションを豊富にし、全世代向けの商品を販売しました。
その結果、フリース、ヒートテックをはじめとする大ヒット商品を世の中に出し続ける企業として成長。「お買い得で着心地の良い」というポジションを確立しました。
スターバックス
スターバックスは、喫煙の有無を活用して、マーケティングのセグメントを成功させました。アメリカでの創業当初から、「コーヒーを五感で感じる」ことがコンセプトのため、禁煙とし、タバコやタバコのにおいが嫌いな人を主なターゲットとしました。1996年に日本に参入した時も、禁煙とし、同業他社との差別化を図りました。その後の躍進は、言わずと知れたところです。
INS
眼鏡メーカーのJINSも、市場セグメントにより成功を収めました。
眼鏡といえば、目が悪い人向けの市場というのが一般的な定義です。そこから、視力はいいけれど「パソコンやスマホを使っている時に目が疲れる」人向けのセグメントを設定しました。そして、そのニーズに答える目や身体への影響を防ぐ機能性のあるブルーライトカット眼鏡を発売し、高いシェアを獲得しています。