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地域住民が働き続けられるまちづくりとは?
コミュニティ拠点づくりから人の輪が広がる

地域住民が働き続けられるまちづくりとは?

地方創生仕掛け人が語る「人が集まるまちづくりの極意とは?」
(画像=『cazual』より 引用)

渋谷さんには忘れられないプロジェクトがあるといいます。それは数年前、函館で再開発ビルの建設に携わったときのことでした。渋谷さんたちは地域の方々による出店を望み、メインとなる大きな角の区画において、地元でコーヒー店を営む夫婦に出店をお願いしたのです。

「2畳ほどのロースターを持つようなコーヒー店でした。彼らに投資をして大きな区画でコーヒー店をやってもらおうとしました。開店してしばらくするとお客さんも入りだして市民権も得ていきましたが、3年後の施設更新のとき、彼らは更新をしなかったんです」

結局、夫婦が営むコーヒー店があった大きな区画には、その後、大手コーヒーチェーン店が入ったそうです。

「私たちが投資などをして、地域の方のお手伝いができるのはオープンまでなんです。施設の作り手の一方的な思いだけでは成り立たない、ということを経験したプロジェクトです」

ビルのオーナー側にとっても、大手のコーヒーチェーンがテナントに入ってくれれば安定的な契約が結べて安心であることは事実。しかし、地元の人たちが出店に積極的に参加できなければ、本質的な地域活性化にはつながらないと渋谷さんはいいます。

コミュニティ拠点づくりから人の輪が広がる

地方創生仕掛け人が語る「人が集まるまちづくりの極意とは?」
(画像=『cazual』より 引用)

渋谷さんが最重要視している「小さなエリアからはじめること」は、地域住民の働く場所を創出するということをも意味します。そのようにしてまちづくりのプロデュースを続けていく中で、人が集まるようになるためのある定型を見出すことができたといいます。

「コミュニケーションがとれるベストな形が、コの字型の席カウンターなんです。7人で囲む小さなサイズ感が、店主もお客さんもちょうどいい距離感が保てます。これがコミュニティが作れる形のひとつの結論です」

こうした小さなサイズ感のお店が20店舗ほど集まれば、人々の中にそのエリアに対する愛着が生まれてくるのだといいます。お客さんが1軒目、2軒目、と複数のお店をはしごすることは、エリア内の経済的活性化にもつながります。

小さな店舗は、地域住民が出店しやすいというだけでなく、お客さんとコミュニティを形成する上で最適な空間でもあるというのです。