9. 実質ゼロでは太陽熱温水器が必要
2050年の排出量実質ゼロのためには、給湯用の都市ガスも無くなると考えるべきです。都市ガスをバイオガスに代替することは、経済的に無理と思います。太陽光発電の余剰電力を、現在の夜間電力温水器のように利用することも考えられますが、それは愚かな方法です。電気は質の高いエネルギーで、電気自動車を動かしたり、水を電気分解して水素を製造することができます。40℃程度の温水を作るために使うべきではありません。
2050年までに、ほとんどの住宅の屋根には、太陽熱温水器が設置されることになります。住宅の屋根に太陽光発電と共に、太陽熱温水器を設置するスペースを確保することが必要になります。太陽光発電設備のメーカーなら、太陽光発電と太陽熱温水器のハイブリッド装置を開発することを考えるべきかもしれません。
10. グリーン投資は成長戦略か
グリーン投資を成長戦略にするというEUの方針が紹介され、日本企業もグリーン投資をビジネスチャンスと考えるようになったようです。排出量実質ゼロを目指すなら、膨大な投資が必要であることは間違いないと思います。普通に考えれば、膨大な投資が必要だから、実質ゼロを止めようとなるところです。
内部留保を持つ日本企業が、実質ゼロのための技術革新に資金を投じることは無駄ではないし、その技術が設備輸出に繋がれば結構なことです。しかし、日本国内の設備に関しても、化石燃料を再エネに変更する膨大な投資が必要になります。
日本のインフラや主要な産業設備は1960-70年代に建設されたものが多く、50年以上を経過し、大規模補修や更新が必要になっています。また、高齢化の進展による医療介護の支出の増大もあります。グリーン投資により、本来必要な投資や財政支出が圧迫されないのか説明してもらいたいものです。