学生の経済事情
社会の貧困率が問題になっている現在、アルバイトに精を出す学生は多い。そうした「学費の負担が大きい」と感じる学生にとっては大学の「費用対効果」が大問題になる。特に奨学金を受給している学生にとっては、「短期間で優良企業に就職できる」メリットは大きい。1年早く就職できれば、その分だけ奨学金は少なく済み、早く返済ができるようになる。社会全体が裕福で、学生が「できるだけ長くレジャーランドにいたい」と考えられる時代はとっくの昔に終わっているのだ。
大学の立場からは
少子化という環境の中、大学では学生数を確保することが至上の命題となっている。本提案により高大(時短)一貫校が実現すれば、学生にとっては「短期間で資格を取得し、企業へのパスポートを手に入れられる」ので採用した大学の人気が高まる可能性は高い。
高等専門学校という5年制の教育機関が企業から評価され、その卒業生が優良企業から引く手あまたであることは知られている。高専では5年間で一般教養と専門知識を教授することが可能なのだから、高校と大学を繋げることで4年制大学を「一般教養3年+専門教育3年」(合計6年)、6年制大学を「一般教養3年+専門教育5年」(合計8年)というカリキュラムの高大(時短)一貫校とすることには十分な実現性がある。
唯一の問題点は「教育期間が短くなる=学費収入が減る」ことだが、4年制大学から6年制一貫校に変えることを「プラスだ」する思考の切り替えは可能だと思われる。それに加えて国が「大学の高大一貫校化」にインセンティブを提供して後押しをするなら、大学も動けるはずだ。
また、もう一つの収入拡大策として「社会人枠」の拡大を挙げたい。今は一つの企業に生涯努める時代ではなく、米国のように転職でキャリアアップを図る時代が始まっている。最初の就職に挫折する若者も多い。大学としては、短い期間で卒業させた学生に対して「第二の学びの機会を提供し、キャリアアップを支援する」コースを用意することで、そうした中途退社組の「スキルアップを図りたい」というニーズを吸収することができる。